はりうっどdream
□バレンタイン企画
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「ハリソン、ハリソンッ」
なまえが私の名前を何度も呼ぶので手にしていた本をひざのうえにおいて彼女のほうをソファごしにふりかえった。
そうすると、口の中に甘いものが転がり込んできた。
――彼女の舌、ではない。
それはチョコレートだった。
「あのねハリソン。あたしの国ではこの日、バレンタインにはね。女の子が男の子にチョコレートで愛を告白するんだよ」
慣れない英語もすこしずつなじんできてはいたが、まだまだ身振り手振りで一生懸命話している。
「私が男の子、か」
そう言って少し笑えば、バカにされてるのかとなまえが少しほっぺをふくらませる
「おいしいよ。」
でも素直に感想を述べれば彼女の顔がとても赤くなった。このコロコロ変わる表情。若い証拠。もう私にはない輝き
「なまえは私に愛を告白するの?」
少しいじわるを言えばまたまっかなカオでこっちをキっとにらむ。
私はこれ以上彼女を怒らせる趣味はなかったのでハハハと笑ってうなずいた
「わかってるよ」
わかってる。
君が私を愛してくれていること。
でも君はわかってない。
私が君を愛していること。