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□いつか -in White day-
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―いつか inホワイトデー―


「姫、これどうぞ」

「えっ?」

小狼君が笑顔と一緒に差し出してくれたのは、一つの小さな箱。ピンクのリボンがかかっていて、とても可愛かった。

「…どうして?今日何かの記念日?」

私の誕生日はまだだし、なんだろう?


「いえ。これはホワイトデーです」

「ホワイト…デー?」

「はい。侑子さんに言われた後気付いたんです。以前姫に、ホットチョコレートを貰ったことを」

そう言って、小狼君はそっと箱を私の手に置いた。
その時微かに指が触れて。顔が赤くなるのが分かる。

「でも…!あの時はバレンタイン知らなかったし…それにいつも私がお世話になってるのに、お返しだなんて…」

貰えない、そう続けようとしたのに、それは小狼君の人差し指によって遮られた。

「俺があげたいって思ったから、いいんです」

そう言ってまた微笑む。
小狼君の笑顔を見ると、心がふわってなって、ドキドキが止まらなくなる。

「ありがとう…開けてもいいかな?」

「どうぞ」

リボンを丁寧に解いて箱に手をかける。
チラッと小狼君を見たら、少し頬を赤くしてどこか緊張した感じだった。

「わぁ…!」

現れたのは、ピンクの花がついた髪飾り。
ガラス細工がキラキラ光っていて、とってもきれい。

「きっと似合います。つけてあげましょうか?」

そう聞かれ、コクンと頷いた。
彼の指が髪飾りを取り、私の髪に触れる。
彼の顔が、私の顔に近付く。

パチン、と髪飾りがとまる音がするまで、私はずーっと小狼君の顔を見ていた。彼の視線は、髪飾りに注がれている。

「できましたよ姫。…姫?」

「えっ!?あっ、ありがと!似合うかな??」

まだ間近にある小狼君の視線が、私に注がれる。

それから耳元に唇を近づけて、私しか聞き取れないくらい小さな声でこう呟いた。


―とっても。―



顔を赤く染めながら言ってくれた、この言葉。

それを聞いて感じた、甘いような切ないような、この気持ち。


いつか貴方に、言えるといいな。



END
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