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□割れた器
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‐割れた器‐
「きゃっ!!」
―パリーーン!!
「大丈夫ですか?!姫?」
「ごめんなさい!すぐ片付けるね!痛っ!」
今、私と小狼君で洗い物をしていた。
でも私はうっかりお皿を一つ、割ってしまった。
彼のお気に入りだったお皿。
さらに慌てて、破片で指を切ってしまった。
「大丈夫ですか?!」
そう言って小狼君は、血が出ている私の指を、躊躇いもなく口に含んだ。
「しゃ、小狼君!?///」
彼の温もりを直に感じ、反射的に身体が熱くなる。
「あっ!///止血しないとと思って…///」
真っ赤になる私達。
速まる私の鼓動。
それから彼は、傷の手当てをしてくれた。
「ごめんね…あれ小狼君が気に入ってたお皿なのに…」
「姫」
謝っていた私の言葉を制す。
「形あるものはいつか壊れるんです。だからそれまでの時を、精一杯過ごすんです」
「小狼君…」
「俺には、姫がそんな顔する方が嫌です」
そう言って、手当てを終えた手をそっと握ってくれた。大好きな、微笑みと共に。
「いつも笑っていて下さい」
あなたがそう望むなら、
あなたのその微笑みが見られるのなら、
ずっと笑っていよう。
そう、思ったの―――
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