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□笑顔の先には。
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『あのね!小狼君に見せたいものがあるんだ!』

サクラがそう言ったのは、10分程前のこと。
バスケットを抱え、君の手を握り、俺たちは歩いていた。



   ―笑顔の先には―


「ここだよ!!」

「…桜?」

たどり着いたのは町外れにある、小さな公園。
空色のブランコや滑り台、緑色の芝生。
そしてその周りを彩る桜。
全てが美しく、そしてどこか懐かしく感じた。

「昨日偶然見つけて…すっごく綺麗だったから、小狼君にも見せたかったんだ///」

「…ありがとう」

サクラの言葉に、自然と感謝の意と笑みが浮かぶ。
そんな俺を見て、サクラは一瞬驚いた顔をした。

「…姫?」

「あっ、ごめんなさい!そうだ!お弁当食べない?」

はい、と答える前に、二人のお腹から響くのは空腹を知らせる音。
二人で顔を見合わせてクスクス笑い、俺たちは近くの芝生に腰を下ろした。







―――

「上手に出来てるといいんだけど…」

「これ、姫が作ったんですか?」

バスケットに入っていたのは、サンドイッチと唐揚げ、玉子焼き、サラダなど色
鮮やかなもの。
これを全て作るには、かなりの時間がかかっただろう。

「俺のために?」

「…うん///」

朝が苦手なサクラには大変だっただろうに。
サクラの気持ちに、愛しさが募る。
気付けば自然と、サクラを抱きしめていた。

「しゃ…おらん君?///」

「…ありがとうございます。嬉しいです」

「よかった…」

そのまま暫く腕の中の温もりを感じ、名残惜しそうに離れる。
ちょっと大胆なことをしたなと思いつつ、箸を手に取った。

「いただきます」

「あ、待って!」

自分で玉子焼きを取ろうとした時サクラに止められ、口の前にそれを差し出された。
いわゆる『あーん』状態だ。

「…ひ、姫!?///」

「…だめ?///」

サクラの上目使いに勝てるはずもなく、俺は顔を真っ赤にして横に振る。

意を決し、小さな声でもう一度いただきますと言うと、俺は玉子焼きを口に含む。
口の中に広がるのは…



「姫…」

「な、なに…?」

「…これ砂糖と塩間違えてません?」

「えっ!?まさか…」

驚いてサクラもその玉子焼きを一口。
その後小声で、しょっぱいと呟いた。


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