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□嘘かまことか!?カップルコンテスト!
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「ご出場ですね!ではまずお名前を教えて下さい〜」
「さくら…です///」
「しゃ、小狼です///」
「さくらさんに小狼さん、ですね。…では少々お待ち下さい!」
手に持ったステッキを振りながら、受け付け係は相変わらずの営業スマイルを振り撒く。
小狼は横で真っ赤になっているさくらを見ながら、先ほどの会話を思い出していた。
――――
『これ出ないと羽根手に入れられないしー、優勝したら泊まる所と軍資金も手に入るから一石三鳥だよ〜!』
『確かにな』
『女の子はさくらちゃんしかいないし、年齢的に自然なのが小狼君でしょー!さくらちゃん、羽根のために頑張ってくれるかなぁ?』
『が…頑張ろう?小狼君///』
――――
羽根のためとはいえ、さくらの“恋人”となる。
そんな常なら考えられないこの状況に、小狼も平静を装えない。さくらと同じく頬を染め、二人して俯いていた。
「それでは今から審査を受けてもらいま〜す!あちらへどうぞ!」
そう言って受け付け係は持っていたステッキで右を指す。
その先には、四角い変な機械があった。
「審査…?」
不思議そうにさくらが呟く。
「はい!やはりラブラブなカップルに出てもらわないと盛り上がりませんし!あの機械の中に入ってもらって質問をいくつか答えていただきます!」
「審査なんてあるんですね」
「今回は賞品が豪華ですし、それにメインですから!」
受け付け係に背中を押されて、二人は機械の中へと入る。パタンと扉が閉められた。
機械の中は二人が思った以上に狭く、座る際、必然的に肩が触れる。
またまた顔が赤くなるが、これからこれ以上に照れる羽目になることを、二人はまだ知らない。
「お二人にはいくつか質問に答えていただきます!あと、手を繋いで下さいね」
「えぇっ?!///」
「なんで?!///」
「二人がラブラブが知るためです!」
目の前にあるコンピュータが喋りだす。いわゆる人口知能というやつで、この国の科学技術はかなり高水準なのが伺える。
不安げなさくらを安心させるよう、小狼は優しい眼差しをむけ、手を差し出した。
とりあえずは質問は小狼が答え、さくらが相槌をうつ、という感じで乗り切ると決めたのだ。
「小狼さんにさくらさんですね〜!お二人はいつ知り合ったのですか?」
「お、幼なじみです。小さい時から、ずっと一緒でした」
なっ?と言ってさくらに肯定を促す。
さくらはコクリと頷いた。繋いだ手に、少し力を込めながら。
「いいですねぇ〜///ではお互いのことを何て呼んでますか?」
「さくら、です///」
「しゃ、小狼君…です///」
「初々しいですね〜///」
それからコンピュータは互いの誕生日、初デートのこと、思い出の場所など様々な質問をする。相変わらず、手は繋いだまま。
「では、これで最後です!」
ホッとしたのもつかの間、その声とともに画面に文字が現れる。二人で声に出して読んだ。
「「…彼氏が後ろから彼女を抱きしめ……えぇえっっ!??///」」
湯気が出そうなくらい赤くなる小狼に、恥ずかしさのあまり黙り込んでしまったさくら。
そんな二人を見て(?)、コンピュータがサラリと言う。
「審査ですから!」
「で、でも…///」
突然言われた難題(?)に、さくらは軽く混乱している。
自分はともかく小狼君は嫌なんじゃ…
そう思っていた。
ちょうどその時、繋いだ手に力が込められる。
思わずさくらが小狼の方を振り返ろうとした瞬間、
――ふわっ
何か温かいものに包まれる。それが小狼の腕だとさくらが理解するのに、時間はかからなかった。
「しゃ…小狼君///」
「少し…我慢して」
耳元で呟く声。
直に感じる小狼の温もり。
いつもと違う口調。
その一つ一つが、さくらの心に、身体に、甘く響く。
さくらは大人しく、小狼に身を委ねた。
「「……///」」
「…はいOKです!以上で終わりです!では結果を見てみましょう!」
どこからかドラムロールが流れて来た。
ジャン!
「92点です!審査通過です!」
「…何が基準なんだ?」
「それは企業秘密です!あっ、もう抱きしめなくてもいいですよ」
パッと身体を離す。しかし機械の中は狭いので、相変わらず二人の肩は触れたまま。
「これからすぐ本選始まるので!こちらから出てステージの方へ向かって下さい!」
画面に矢印が表示され、二人はユデダコ状態で外に出て行った。
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