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□嘘かまことか!?カップルコンテスト!
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そうだ、ただ伝えればいいだけなんだ。自分の正直な気持ちを。
だって…
「…さくらは」
ただ真っ直ぐに、さくらを見つめる。
スルリと、言葉が出てきた。
「さくらは、俺の1番大切な人です」
この気持ちに、嘘偽りはないから。
「小狼君…///」
「さくらのためなら、何でもする。全てのことから、守ってみせる」
…あの日から、心に抱いていた誓い。
「……///」
黙って俯くさくら。
よく見ると耳まで真っ赤だった。
もう片方の手と共に、小狼の手を包み込む。その温もりが、小狼には懐かしく、愛しかった。
「わ、わたしね…」
「えっ?」
「小狼君の手が…1番好きなの」
「………」
客席、司会者、そして小狼から熱い視線を受けるのを感じたが、それでもさくらは言葉を紡ぐ。
「いろんな手に助けられてきたけど…小狼君の手が1番安心するの。いつも私のために一生懸命で…一緒に居ると心がふわってなるの。だから、小狼君は、私の1番…です///」
恥じらうさくらが可愛くて、無意識に抱き寄せようとする。
「さく…『すっっばらしいぃぃい〜〜!!!』
…が、司会者の叫びで我に返った小狼。
いつの間にか二人の世界に入っていたことを今更ながら自覚する。
『感動しました!さすが審査最高点カップル!』
『きゃーーー☆』
『それでは皆さん☆審査にはいりまーす!お手元の用紙で投票して下さーい!』
自分の発言を思い出し、照れまくる小狼達を尻目に、司会者はどんどん進行していった。
――――
ざわざわ―
「あははー小狼もやるねぇ」
投票でざわめく会場の最後列で、へにゃと笑いながらファイは言う。
「ったくあの小僧は…」
「ナイスアドバイスだったねぇ、黒様♪」
「……ふん」
「二人ともすごかったの!ラブラブだった♪」
フンフフン〜♪と口づさむモコナ。
黒鋼もどこか嬉しそうだった。
「あっ、結果でたみたいだよー」
ファイはステージを指差しながら言った。
――――
『では皆さんおまちかね♪結果発表です!』
『ピューー』
『きゃーー♪』
沸き上がる場内。
緊張する出場者。もちろん私達もすっごく緊張している。
『では、発表します!!』
またまたどこからかドラムロールが流れ出す。
ゴクリ――
ジャン♪
『優勝はやはりこのカップル!No.7の小狼、さくらペアで〜す!』
『きゃーー!』
「やった!小狼君!」
満面の笑みを小狼君に向ける。
羽根が手に入るのも嬉しかったけど、小狼との仲を認められたみたいで、くすぐったい感じがした。
「あぁ!よかっ『ではお二人には証として熱い口付けを交わしてもらいます!』
「「………」」
喜びもつかの間、司会者の発言に固まる二人。
「ええぇっ!?///」
「な、ななんで!?///」
そんな二人に司会者はニコリと笑ってこう言い放った。
『してもらわないと認定はできませんねー。それに…そういうものです♪』
「でも…///」
ぐいっ―
「しゃ、しゃお…///」
戸惑ってる私の手を引っ張って、小狼君は口元を隠すように頬を両手で包んだ。
「…目、閉じて」
耳元で小狼君の吐息を感じて、反射的に目を閉じる。
閉じていても、小狼君が見つめているのが分かった。
ゆっくりと、距離が縮まる。
私はきゅっと、唇を結んだ。
ちゅっ―
「ぇ…」
声と共に開けた目に映ったのは、少し朱くなって苦笑いをしてる小狼君の顔。
彼の唇が触れたのは、私の唇の少し横だった。
『いやーラブラブ☆カップル認定です!』
『かわいー♪』
小狼君を見上げると、口元で人差し指をたてて、小さな声で内緒です、と言った。
彼が賞品を貰ってる横で、私は小狼君が触れた所が熱くて、ただ俯いてるしかできなかった。
――――
「おつかれ〜!」
「二人ともちゅーしてラブかった♪」
「あれは頬だよ、モコナ///」
コンテスト終了後、小狼達はファイ達と合流した。
「寝床も金も手に入ったし、一件落着だな」
「はい。早速ホテルに行きます?」
そう言って小狼がホテルの宿泊券をファイの前に出す。
それを見たファイが、ニッと笑った。
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