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□イケない豆まき*
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「おにわーそとぉ!ふくはーうちぃ!」

ギルドの扉を開けた瞬間、顔面に投げつけられた大量の粒。

ナツの馬鹿力によって勢いよく飛んできたそれは、1つ1つの大きさは小さいとは言えどかった。

それに、いつもは家からギルドまでの道のりで脱いでいるが、今日は珍しく着ているTシャツの中に入り込んできて気持ちがわりぃ。

「なぁーつ……おまえなぁ。豆まきっつーもんはな、本来目に見えない邪気を祓うために空中に豆を投げるか、鬼の面をかぶった人に……っ ておい聞けよ!!」

節分というものをつゆ知らず、今日はただ豆を投げつければよいと思っているらしい無邪気な俺の恋人は、俺の解説なんぞには聞く耳を持たないといった様子でルーシィの元へと走って行った。

ったく。やられて黙ってられるほどできてねぇんだよ。

そう呟くと、ナツが机に置いていった、まだ豆の入った枡を掴む。 そしてナツの後ろへそっと回り込んだ。

ジャー!! その効果音とともに、枡の中身をナツの頭の上 から一気に全てぶちまける。

「ぅお゙っ……」

ナツは肩をビクッとさせ、何が起こったか分からないといった様子で固まっている。

ざまぁ。 と俺は心の中でガッツポーズを決めた。

と、次の瞬間、ナツは首だけで振り返り、顔を真っ赤にしながら涙目で俺を睨み付けてきた。こんな顔をされると、まるで情事中のナツを思 い出してしまう。 本当に可愛いやつ。だからこそ虐めたい。

しかし、本来ならグレイに罵詈雑言を浴びせた上で飛びかかってくるはずなのに、何故かナツは動かない。 おかしい。

「どうかしたのか、ナツ。」

「………く、くすぐってぇ……」

そういうと、白い鱗模様のマヘラーの中へと潜り込んだ豆を取りだそうとマフラーを緩め始めた。


なるほど。 グレイの口角がニヤリと引き上がる。

ナツの身体は感じやすい体質なんだが(実体験に基づいた見解)、特に首筋やうなじが敏感だ 。 おそらく頭から豆をかぶった際、うなじや首を掠めてゆく粒の刺激さえ感じとってしまったの だろう。

そう理解した瞬間、グレイはとてもイイことを思い付いた。 イイこととは、もちろん気持ちのイイことなのであるが、それはあまりにも変態すぎる行為であると自覚した。 だが、一度決めてしまったことは実行するまでだ。

「ナツ……」 グレイは後ろからナツを抱き締めて、首筋をぺろりと舐めあげた。

「んぁっ!!!ちょ、なに……」

「豆に感じてんじゃねーよばか」

そっと囁いてやると、案の定俺の推測は当たっていたのか、ナツは耳まで真っ赤にして俯いてしまった。

「ちょっとアンタたち、そういうことは他でやりなさいよ! ミラさん、グレイとナツに医務室を暫く貸してあげられないですか?」

ルーシィのおかけで、ここがギルドだということを思い出した。 否、周りの人の存在を忘れるほどナツしか見ていなかったということか。

とりあえずルーシィの助言のおかげでこの怪しい雰囲気 を壊すことなく、2人きりになれる場所に移動 することができた。
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