SAO-the after-6year-

□一途な想いを貴方に
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K総合病院にやがて直葉の父親が会社から病院に駆けつけた。
ICUのドアの近くに父親と母親と直葉がいた。
「母さん…お兄ちゃんの病気知ってたんでしょう?」
「…そうよ」
「どうして言ってくれなかったの?」
「…それは」
「父さんも知っていたの?」
「…そうだ」
「何故私に話してくれなかったの?」
「……」
「……」
「何故黙ってるの?」
黙り続けるのも和人の言葉に納得して、直葉に言わないことを良しとして両親は黙して語らずにしてある。

その場所に居づらいため待合室で1人座りながらうなだれていた。
「直葉ちゃん…」
直葉が茜に電話をしたので、自宅から病院に駆けつけた。
「茜ちゃん…」
「和人君が倒れたって…」
「先生から脳腫瘍って聞いて…私どうしたら…」
茜の腕の中で泣いている直葉。
「私…和人君から聞いていたんだ」
「えっ?」
「脳腫瘍の事」
「茜ちゃんにまで…お兄ちゃんがどうして私に言ってくれなかったの?」
「直葉ちゃん…数年前ALOの時に、一度和人君に告白したのよね?」
「うん…」
「その時明日奈さんの事があり和人君は断った…」
「……」
「それを今でも背負っているのよ…」
「でも後で仲直りしたんだ
けど…」
「和人君は、それだけで終わらせる事はなかったかもね…」
「どういう事?」
「これ…」
1つのメモリーカードを茜が直葉に手渡した。
「何なの?」
「和人君の直葉ちゃんに向けてのメッセージが入っているわ」
「どうして茜ちゃんが持ってるの?」
「この前会社で渡されてね」
直葉は携帯を取りだしメモリーカードをセットし、イヤホンを耳に付け再生した。

直葉へ
これを開いたということは俺がこの世にいないだろう。
直葉に色々迷惑かけたね…
直葉にあのとき告白された時俺は正直嬉しかった、だけどSAOの2年間俺は直葉を裏切った…
デスゲームで昏睡してるときに直葉に看病されてるのも知らず、明日奈と出来てしまい…目覚めた後で後悔した。
俺は直葉がこんなに近くにいるのに解ってやれなかった。
でも今は言える…
直葉…愛してるよ

「死んでないよ…お兄ちゃんはまだ死んでないから」
直葉の両目から涙がこぼれ落ちる。

それから数時間後篠崎里香が病院に駆けつけた。
疲れていたのか直葉は里香が来たのを気づかずに、倒れこむ形で待合室の椅子で横たわっていた。
「あの〜篠崎さんですか?」
「そうですが…あなたは」
「直葉ちゃんの友達で白
山 茜と言います」
トイレから戻った茜が里香に声をかけたが、何を話したらいいか戸惑っていると里香から言葉がでた。
「和人君の容体はどうです?」
「今 手術してますが…」
「そうですか…」
「あの〜里香さんと和人君は、どこで知り合ったんですか?」
「SAOの中で知り合って…短い間だったけど」
「そうですか…」

手術は難度をきわめていて長い時間がたっていた。

待合室で直葉が目を覚ました、周りに知り合いがいるので驚いてる。
「みんな来てたんだ…私だけ眠ってしまって」
茜「いいのよ…」
直葉「里香さん… 来てくれてありがとう」
里香「直葉ちゃん大丈夫?」
直葉「大丈夫です」
里香「和人君は私には言ってくれなかったから、なんでこんなことに…」

手術室のライトが消えドクターが出てきた。
「家族の方は集まって下さい」
母親は待合室にいる直葉を呼びに行った。
「直葉!こっちにいらっしゃい…」
「うん…」

ドクターの前に並んだ父親達は耳を傾ける。
「先程手術は終わりました…一応成功しましたが、なにぶん体力が衰えていたので回復力が戻りません」
「それでお兄ちゃんは助かりますか?」
「経過をみなければなんとも言えませんが、
48時間が峠でしょう…」
「そんな…私どうしたら」
「私達もあなたの兄さんが良くなるように祈ってますから…気を落とさないで」
「はい…」

「直葉…遅いから帰りなさい…」
父親が直葉に言うが、帰る様子をみせない。
「心配することは分かるが、家を空けておくのはまずいから…」
「私…お兄ちゃんの傍にいたいの」
「直葉ちゃん帰ろう…」
「茜ちゃん…」
「明日もここに来ればいいから…ね…」
「うん…」
「直葉ちゃん…私も帰るわ…なんかあったら連絡してね」
「うん…おやすみなさい」
「それじゃ行こうか…」
茜に連れ添われ直葉は茜の車に乗った。

車中で無言のまま桐ヶ谷の家に着いた。
「直葉ちゃん…貴女がしっかりしないと、お兄ちゃんが戻って来ないから…」
「茜ちゃん…ありがとう…おやすみ」
茜の車が遠ざかるのを確認して家へ入る。

玄関から2階に上がって行く直葉、和人の部屋に向かう。
ドアを開けると暗くて静かな和人の部屋に、パソコンの電源に灯りが点いてるのを発見した。
「おかしいな〜いつもはディスプレイを切ってる筈なのに…」
画面を見るとメールが届いていた。
「いいのかな…お兄ちゃんがいないとき見ても」
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