短編GIANTKILLING

□こんき
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「俺のこと大嫌いだって、騒いだらしいじゃねぇか」


「……え」


なんで…知ってる…の…?


「堺のバカヤロー、大嫌いだーって」

「誰から聞いて…」

「そんなんどうでもいんだよ」

「っ…あ、あれは本気で言ったんじゃなくて…」

「俺はよ」


堺は私に背を向けた。


「プロになったばっかの頃からお前のこと知っててよ、

お前のことならなんでもしってるつもりだった。

お前と居るのは楽しかったしな。

けどお前が俺のこと嫌いだって言うなら、もうこれをおきにちかよらねぇよ」



え――ちょ、ちょっと待ってよ…もう堺と一緒には、いられないってこと…?



「待ってさか――」
「紺野、嫌いだっていえよ。その方が楽だぜ」

「ちがっ…」

「むしろ変に気をつかわれるほうが、迷惑だ」



やだ、そんなのやだよ!


こんな事になるなら、あんなバカなこと言わなきゃ良かった。


あんな心にも思ってないこと、冗談だとしても言うんじゃなかった――!



「だから…。お前、なんでないてんだよ」


気がつかないうちに泣いていたらしく、堺は驚いたように私に近寄ってきた。

しゃがんで目線を合わせて、私の頬に触れようとした手を、

途中で止めて引っ込めようとした。

私はとっさにその手をつかんでいた。


「堺のバカ!」

「っ……!」

「ちゃんと私の話も聞いてよ!

私のことなんでも分かるなら私が話を聞かない人が嫌いだって知ってるでしょ?」

「…ああ、知ってるよ」

「大嫌いなんて嘘だから!

イライラしてきちゃって、堺の写真に向かって言ったの」

「だからそれが…」


「なんで堺こんなにかっこいんだよバカって。

堺のせいで婚期のがしたって」


「……!!」


「ずっと、ずっと好きで、職場まで変えて追っかけてきたのに堺全然気がついてくれないし。

私のこと何でも分かるって言ったけど、私臆病なんだよ、知ってた?

堺に告白して今の関係が崩れちゃうのが怖かったんだよ。

いつか堺が気がついてくれたらいいなーっておもってた。


私が堺のこと大好きなの、知ってた?」


恋は終わっちゃうのかな。

けどいいや、こんな最悪な誤解させたままよりずっといい。

ていうかいいきっかけになった。

そう、これで良かったの。

潮時だったんだね。


一生片思いし続けるような根気、私は持ち合わせちゃいないから…


「…悪かった、紺野。俺、お前の言うとおりマジでバカだ」

「うん」


「…好きだ」


「っ…ほんとに?」


「本当」


「気を使わなくてもいいんだよ?」


「ちげーよ!…っあー、ホントにバカだった。俺も、お前も」



堺は止めていた手を、私の後頭部に回した。


「俺だって、前のチームいた頃からお前のこと好きだった」


人に抱きしめられるのも、キスされるのも恥ずかしいことに久々だった。



それは暖かくて、私はしがない広報から、


世界一幸せな女の人になれた気がした。




――のがしていたのは愛の言葉――










後書き
なんだこれww十年間の片思いとはおぞましい!
堺って呼び捨てもなかないいですね^^
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