長編短編FE

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 ルフレさんとリベラさんの協力の甲斐もあり、私はだんだんとイーリス軍になじめてきました。

このような大勢の人に対等に扱っていただけることに最初は慣れなくて、

照れくさくもあったのですが今では友達もたくさんできました。


暇があればサーリャさんやリヒトさんをはじめとした皆さんが魔法を、

リズさんやマリアベルさん達は杖の使い方を見てくださいました。


自分で言うのもどうかと思いますが、どうやら私には素質があるようです。


通常がどういうものかは分かりませんが、上達が早いとみなさんによく言っていただきます。




 正直に言うと、今の生活は危険と隣り合わせながらもとても楽しいです。


けれどやっぱり心の真ん中にはぽっかりと穴が開いていて、楽しくなればなるほどその穴の存在が私を苦しめるのです。

そういうときはたいてい、ルフレさんとリベラさんがお話を聞いてくださいます。




そうして戦いを続けて、数年が経ちました。




戦いも終わりに近づき、私がルフレさんに相談することよりもルフレさんが私に不安をこぼすことが増えました。

邪竜ギムレーがどうとか、難しくてわかりにくいことが多くても私は理解できるよう努めました。

ルフレさんや親切な皆さんを苦しめるギムレーは、憎いものです。



そうしてたどっていけばギャンレル様もこのために利用されたのだと知りました。



私としても何とかしてギムレーを封じていただきたいので、いっそう魔法と杖に専心いたしました。



 そして最後に各地の強者達を仲間に加える旅の途中、私の耳にある噂が入ってきました。



これから戦う海賊の中に一人、

ひん曲がった剣――サンダーソードの事です――を腰に下げたトリックスターが居るというものです。




皆は、ギャンレルが生きていたのではないか。そう噂しました。


変に、期待させないでほしい。


絶対にあり得ないのだと言い聞かせてもどうしても、

本当にそうならいいのに…という思いが消えることはありません。

どうせただの噂で終わって、一人で落ち込むだけなのに。



 だから出陣前に、クロムさんが「ギャンレルは死んだ。

今俺たちの前にいるのはザッハ海賊団だ。噂に惑わされるな!」とおっしゃってくださったのに

少なからず気持ちを引き締めることができました。
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