短編進撃andキルラキル

□願い
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部屋のドアを荒々しく開いた。ベッドに倒れ込むように座り込み、制服に手をかけた。


脱ぎたい。

早く脱ぎたいのに、手が動かない。

服を脱いだら私は無力。

この二つ星極制服が私を強く、家計を豊かにしてくれる。

だけど私はこの二つ星極制服を着こなせていない。

生命繊維への抗体が他の人よりも少ない私は、ただ着られるだけ。


着るか脱ぐかもなかなか決められずに、制服のまま眠ることもある。

脱がなければこのまま着られてしまうかもしれないと言う恐怖が、着なければ何にも守られていない自分の無力感が。

私は、二つの気持ちに板挟みになっている。
辛い。ただ辛い。


「カヤ、帰ったのか?」


だけど、紬の声が聞こえると私は再び制服に手をかけた。

ふるえる手でスカーフを緩め、はぎ取るように引っ張った。力が入らなくて、極制服が体にすいつくようにさえ感じる。


「…っ…ぅあぁああ!!」

「カヤっ!」

「っこないで!」


私を見つけた紬が走り寄ってきて一緒に制服を引っ張ろうとしてくれるけれど、私は声を上げてそれを止めた。

自分の力で、自分の意志で脱がなければ、きっと私は極制服の力に屈してしまうから…。

私は最後の一踏ん張りで脱ぎきった極制服をベッドの下へ投げつけた。

乱れた息でベッドに倒れ込む。

制服を脱ぐだけで息が上がるなんて、私はなんて弱いのだろ。


「つむ…ぐ…ちゃんと、脱げたよ…?」

「っああ、カヤ…」

「疲れちゃった…情けないなぁ、私は…」

「いや、お前はよくやっているさ」


紬がベッドにあがってきて私を起こしてくれる。


ああ、暖かい。


人の体温は、こんなにも暖かい。


「紬、後ろから抱きしめてほしいなぁ」

「それだけか?」

「ううん。ぎゅうっってしてほしい…ふふっ…」


少し弱々しい声でお願いしたら、すぐに後ろからぎゅうっってしてくれる。

私の肩に顎を埋めながら悔しそうに拳を握りしめていた。

その手に、そっと手を重ねた。


「っ…すまんカヤ…」

「紬が謝ることじゃないよ」

「だが…偵察のためとはいえ、俺がノロノロしてるせいでお前の体は極制服に蝕まれて…」

「大丈夫」


本当は、すごくつらいよ。

でも紬が私を心配するように、私だって自分にできることをしたいんだよ。


「極制服は、着るのも脱ぐのも辛い。

だけどこうやって紬が抱きしめてくれれば、私は私でいられるから、だから大丈夫だよ」

「…フン、強がりやがって」

「いいじゃんちょっとくらいは。

じゃあはい、次は正面からぎゅうってして、あとあまーいキスも欲しいなぁ」



見上げるように紬と目を合わせてお願いしたら、紬はまた無言のまま私の願いを叶えてくれた。



end



後書き
なんかアニメ終わってからこの話って微妙でしたね(汗
キルラキル強化月間といいつつ結局書いた者をすべて3月中に挙げられなくて申し訳ないです><

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