長編進撃

□第1話
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ひねくれ者
bP 貴様は何者だ




あの日の朝は、最悪だった。



「おい貴様、貴様は何者だ!」

「ハッ!ウォール・ローゼ南区ジナエ町出身、レティ・アルベイルです!」

「ずいぶん貧弱そうな体つきだな!それでやっていけるのか!」

「そのつもりであります!」

「ではアルベイル!貴様はなにしにここへ来た!」

「と、とりあえず生き延びるためです。この二年間でそれを見つけるつもりです」

「そうか!貴様にも巨人の餌になってもらおう!」



最悪だ。


とりあえず、ここに入れば朝ご飯も昼食も夕食ももらえるって聞いたから。

だから生きるために入ったのに。

ちょっとでも期待を持って来たのにそれは一瞬で壊されてしまった。

教官はものすごく怖い顔をしていた。

私は思わず身震いしたけれど、教官は私みたいな奴にはかまっていられないとばかりに次のターゲットに移っていった。


内心、ほっとした。

横目で見てみると、そこには私と同い年くらいの少年がいた。



「貴様は何者だ!」

「トロスト区出身、ジャン・キルシュタインです!」

「何しにここへきた!」

「…憲兵団に入って、内地で暮らすためです」



彼は、少し間をおいたものの正直にそういった。

私だったらきっと人類のためだとかきれい事を並べていただろうから(実際は生き延びつるためだとかかっこうわるいことを言ったけれど、わざわざ憲兵団に入りたいと言うことはないと思う)、彼の物言いにただただ面食らった。





「そうか、貴様は内地に行きたいのか」


「…はい!」



答えた彼に、教官が拳をあげた。



「いっ――」


「誰が座って良いと言った!」




体が動きそうになったけれど、彼のいっこ向こうにいた私の幼なじみが焦ったように首を横に振るのが見えたから、私はなんとか動かずにすんだ。


ここで勝手に動いたら、あの恐ろしい教官が黙っては居ないだろう。


それにしても酷いな教官は。


殴ることはないじゃない!
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