長編進撃
□第7話
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bV 素直に
ようやく泣きやんだ後で、もう時間は夕食の時間になっていた。
今日は夕食は断念かと思ったけれどマルコがパンだけなら持ってこられるから、と持ってきてくれた。
非常に助かった。
マジで。
二人で並んで人通りの少ない廊下に座り込んだ。
マルコと二人きりは久しぶりだ。
「…それで、ジャンとケンカしたみたいだね」
「…あぅ」
「隠さなくても良いよ」
「見てたの?」
「いや、ジャンが落ち込んでたから。「勢いに任せてひでぇこと言っちまった」ってね」
ジャン…。ジャンは悪くないのに、私はジャンを傷つけちゃったんだね。
「マルコ、あのね――」
「レティ。レティは理不尽だよ」
酷く面食らった。
マルコは酷いことを言う。
だけど顔は優しげに笑っていて私は混乱した。
「理由があるなら言わなくちゃ。最近僕やジャンを避けている理由をさ」
「あ……」
「理由もなく避けられたりしたら、ジャンだってイライラしちゃうよ」
「ごめん…」
「それはジャンに言ってあげなよ」
「マルコにも言うべきだったよ、ごめんね。でもマルコを嫌いになったんじゃないよ!」
「分かってるよ」
マルコは笑いながらそういった。
「あのね…私が苦しくて逃げてただけなの。
ジャンがミカサのことスキだって…そんなこと最初から分かっていたのに――私、今になって自分の気持ちに気が付いたりして」
「うん」
「ジャンのこと応援したいのに応援できない自分も居て…」
「うん」
「辛いよ…」
「そっか。…ならそうジャンに言えばいいよ」
あまりに簡単に言うから、私は一種の怒りを持った目でマルコを睨んでやった。
だけどマルコは悪気無く、困ったように笑うだけだ。