短編進撃andキルラキル
□人間らしく
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※甘い要素はなく、だいぶシリアスです
「なぁ、マルコ」
そう言った彼の声は震えていたし、きっと目は潤んでいたに違いない。
「もうどれがお前の骨か分からなくなったよ」
彼が青い顔をして、マルコの死を告げたのはまだ記憶に新しい。
そのときから数えても、ジャンは何度も顔をゆがめていた。
涙も浮かべた。
けど、決して泣かなかった。
「ジャン……」
「おい、カヤ。どうするか決めたか?」
ジャンは拳を強く握りしめて、何かを見たように顔を上げた。
「っ……」
「俺は決めたぞっ…、俺は…」
「ジャン…」
「俺は…調査兵団になるっ…!」
こんな地獄だと分かってれば兵士になんてならなかった。
あえて行く必要はない。
むしろ、憲兵団になるためにここまでがんばった。
その結果6位になって、ジャンはあんなによろこんでいたじゃないか。
だけど今、どうすべきか。
ジャンはきっと分かっている。
誰より人間らしくて、私たちが心の中で押しとどめることを
いつも代弁してくれるジャンが、調査兵団に入ると言った。
だから、私もいい加減覚悟を決めなくてはならない。