短編進撃andキルラキル
□ときめき
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「カヤ・紺野!お前は立体機動の技術が極めて高いと私は見込んだ。
そこで、今は木にぶつかること以外は何も考えずできるだけスピードをつけてやってみてほしい」
何班かに分かれて立体機動の練習をしていると、教官が休憩時間にそういった。
「やれるか」
「っはい!」
すぐに立ち上がって返事をした。
他の班も休憩中だから木以外は本当に意識に入れる必要はないらしい。
教官はとにかくのびのびと飛んでくれればそれがいい手本になるといってくださったから私はすぐに準備をした。
私がみんなに自慢できるのはこの立体機動くらいだ。
みんなが視線を集めてくる中「この辺を一周してきます!」と言って、私は地面を強く蹴った。
とたんに広がる浮遊間。
何も考えずに飛んで良いと言われたのは初めてで、私は今巨人を追いかける兵士ではなく、空を飛ぶ鳥みたいに飛び回った。
次第に加速していって、私は立体機動の本来の目的すら忘れてわくわくした気持ちでいっぱいだった。
しかし次の瞬間、視界が真っ黒になった。
「きゃあ!」
「ぐあ!」
しまった――!
誰かと正面衝突したみたいだ。
他には誰も飛んでいないって教官も言ってたのに…!
しかもレバーを引いてみるけれど反応が鈍い。
今の衝撃でおかしくなっちゃったみたいだ。
このままじゃおちる…!
ふわり。
どうにか助かるすべはないかと数秒間にあれこれ考えていたが、落ちていく感触は途中で消えてまた浮遊感が私を包んだ。
そして数秒後、私は地面に荒っぽく落とされた。
落とされた割に地面は何だか柔らかかったけれど。