短編レジェンズ&FS

□怖がらないで
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 そう、うちにはこのでっかいドラゴン、ライオン、そしてオオカミ型のレジェンズが居候しています。

たいがい弟のディーノが面倒を見てくれるし、
彼らもずっとあの姿で居るわけではないからそんなに困っているというわけでもないけれど…
…けれど時々困るのだ。

たとえばご飯の時、ケチャップを取ってと頼んで渡してくれた相手がウォルフィーだったとき。

親切でやってくれたのは分かるけれど、どうしても手が震えてしまう。

最近はウォルフィーも分かってきたらしくて、手渡しではなく
「はい、どうぞ」と目の前においてくれるようになった。

私はうつむいてもごもごとお礼を言うだけ。
さすがにみんなも不思議に思ってきたみたいで、
今日は質問攻めにあっているところです。

「お嬢、なんでうーたんを避けるんですか?」
「そうだぜ、あいつなんか悪い事しちまったかなって気に掛けてたぜ」
「いや、それは3人の考え過ぎじゃ……」
「そんなはずはない」

うっ……。なんと答えれば……。
そんな犬が怖いからだなんて恥ずかしくて言えないよ…

「そ、そんなことないんだって!」
「でもよ」
「なにやってんだ?」
「う、うぉあるふぃいい」

出かけていたはずのウォルフィーが突如姿を現したから、私は思わず声を上げた。

「お、良いとこにきたなウォルフィー」
「うーたんもおもわねぇか?カヤがうーたんにばっか冷たいって」
「ちょっ…二人とも……!」

なんで本人に言っちゃうんだよー!
ウォルフィーは一瞬私を見た。
それからふっと目をそらしていった。

「気のせいだって。それよりあんまりお前らの見当違いでカヤを困らせるんじゃないぞ。
ほら、あっちで映画見ようぜ〜、ディーノ坊ちゃんが借りてきてくれたんだ」

グリードーとリーオンは顔を見合わせてからため息をついて、立ち上がった。

「わるいなカヤ」

そういって頭をかきむしったウォルフィーは、すごく切なそうだった。

――だめだ、こんなんじゃ。

オオカミだからってだけで、本当は優しいウォルフィーにこんな顔させちゃうなんて、私最低じゃない……
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