短編レジェンズ&FS
□千年越しの愛を歌うよ
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「なーなーでがっちょ」
「なんだよ風のサーガ」
「お前ってさー、ずーっと前にもこうしてこの世界にいたわけだろ?」
「まぁな。思い出せることは少ないが」
「じゃあさー、俺の前の風のサーガって、どんなだったの?」
ある日のことだ。
そう、何も変わらない、いつもと同じ風がふく日。
だがその瞬間だけは、なんだかいつもと違う風が吹いたような気がした。
今までずっと、何かを忘れていたような気分だった。
それがすごく大事なことは分かっていたが、俺は何を忘れてるかも思い出せずにいた。
それが俺の考えすぎではなかったのだと分かって、少しだけすっきりした。
前のサーガ。
こいつに出会ってから考えたこともなかった。
だが確かに、俺にもグリードーのように以前のサーガが居たはずだ。
「さぁな、あんま覚えてねんだ。ただ……」
「ただ?」
「こいつと関係がある気はするんだ。
ま、今お前に言われたからそう思っただけだがな」
「考えもしないくらい忘れてたって事なのか?」
「だろうな。けどこいつには、最初から何かを感じていた。
大事にしなくちゃいけねぇなぁとは思ってたな」
俺は、自分の飛行帽にそっと触れながらそう答えた。