短編ONEPIECE

□バレンタイン
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「野郎共、飯だぁ!」

の、セリフから数時間、夕食は綺麗にかたづけられ、代わりにサンジ君の入れたコーヒーが並んだ。

私達女子グループは部屋に置いておいたチョコを取りに向かった。

「うまくいくと良いわね。」

部屋まで行くとナミが言う。
多分ルフィのことを言っているのだろう。

「うまくいくわけはないんだけど。でもルフィが喜んでくれるんだったら…。」

「音楽家さんはいつも優しいのね。
船長さんはいったいいつになったら気が付くのかしら?」

ちょっといたずらっぽい笑みを浮かべてロビンが言う。
けど、もう気が付いてもらえないのは明らかだった。
でも、それでもちゃんとわたしたい。

「本命だよって言うよ。」

そう言って部屋を出た。
食堂へたどり着くとナミが「みんなー、チョコよ!」とチョコの入った袋を掲げていった。

まず食いついてきたのはサンジ君。
ナミはそれを分かっていたのかさっとチョコを取り出し、それをサンジ君にわたした。

「配っていくから、そこに座っててね。」

チョッパー、ウソップ、ルフィの目がキラキラ輝いている。
よだれでてるよ、よだれ!

「俺いらねぇ。甘いのは嫌いだ。」

配っているとゾロが興味なさそうに言う。
その次がルフィだったから、すこし緊張していたせいもあって

「へ?」なんて間抜けな声を出してしまう。

「あ、ゾロのは甘さ控えたクッキーだから、受け取ってよ。」

「そうか。じゃあ食うかな…。」

「レティー、俺のは〜?」

う、きた…ルフィの目がキラキラと…ゾロがわたしに目配せをしてから甲板をあごでしゃくる。

ああ、そう。
二人きりになってわたせと言いたいらしい。

「ル、ルフィはちょっとこっち来て。」
「なんでだ?」
「良いから行ってこい。」

ゾロの押しもあってルフィはわたしとともに甲板へ出る。
ゾロはにやっと笑いながら食堂のドアを閉めてくれた。
甲板の真ん中当たりまで来て、さっと振り向く。
夜の風が冷たいけれど、真っ赤なわたしの顔にはちょうど良い。

「あのね、ルフィのはちょっと特別なの。」
「特別?」
「うん、本命チョコって分かる?」
「んー……わかんねぇ!」

笑顔でそう答える。
わたしは袋からチョコをとりだし、ルフィに差し出した。

「これ、ルフィへ、わたしからの本命チョコ。」

「んー、本命がなんだか分からないけどうんまそうだな!ありがとうレティ!」

差しだした茶色の箱の蓋を開けて中をのぞくルフィ。
そのリボンは赤色で、ルフィの麦わら帽子をイメージしたつもりだ。

「俺最初はレティのこと、なんか静かでつまんねーヤツだと思ってたけど、
やっぱおまえ良いヤツだな!俺、お前のこと好きだぞ!最高の仲間だ!」

「ありがとうルフィ、私も大好きだよ。」

この思いはいつになったらつたわるかな?

伝わらないならそれはそれでルフィらしくて良いと思う。
いつか伝わることを信じて、来年もまた、思いの詰まったチョコレートを、あなたにわたすよ。


――あなたには、好きな人がいますか…? 



後書き
実は一年くらい前に書いた奴なのでかなりへたっぴです。すみません^^;              
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