短編ONEPIECE

□義手
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「キッドさーん!酒場あいてましたよ!」



手を振りながら街の方から走ってきたのは俺たちの仲間であるレティだ。


そしてレティは、頭の正面でなぜか何かにつまずいて壮大に転んで見せた。



頭は絶句して数秒間固まってから、すぐに走り寄っていった。




「バカヤローテメェ一人で歩き回るなってあれほどいったろうが!」


「ご、ごめんなさい…けどみなさんお疲れのようでしたから…」




正直頭の怒った顔は人類最強だ。



レティはそれを思ったのか半泣きで謝りにかかった。




「な、泣くこたぁねぇーだろ!」


「い、いえ違います!

あの、なんといいますかその…あわわ…」


「…そうか。そうだったな。ほら、こっちこい」


「ううっ…すみません……」




 そうか。俺も思い出した。



レティは半泣きであやまったんじゃない




あいつは…極度の人見知りだったんだ!




それにしてもなんだあのかわいい生き物は!


レティは頭のコートの中に入っていって背中に隠れながら

ちらり、ちらりと外界の様子をうかがっている。



隣でワイヤーがわなわな震えていた。


分かるよ、ワイヤー…




「なんだユースタス屋。そいつ何者だ俺に譲れよ」



えー!何この人一瞬見ただけでひとんちのクルー奪うつもりだよ!




そんなのはこのヒートが許さぬ…なにせレティは俺たち一味のかわいい妹であり、




将来の頭の嫁なんだ!(おそらくそうなるに違いないという見解)



みすみすわたすかー!


トラファルガーは頭…というよりもレティに近寄って行ってぬっとコートの隙間をのぞき込んだ。


顔がかいま見えていたレティも「ひゃあ!」とかわいらしい悲鳴を上げて顔を引っ込めた。


それで正解だぞレティ!




「てめぇ、あんま驚かせるんじゃねぇよ」


「興味がわいた」


「いやそれ以前に隙あらば連れ帰る気だろオイ!」


「分かっているなら話は早い」


「はやくねーよ!」


「しかしまぁ、興味があるか無いかは置いておいて、

お前がこんなに戦えなそうな女をクルーにするとは俺も正直驚きだな」


「関係ねぇだろ」


「違いないが、話が振り出しに戻っている」




しびれを斬らせたキラーがとうとう声を上げた。
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