短編ONEPIECE
□二人が出会った物語
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それと、俺たちがこの島に来たときから世話になっている少女、
レティもこのころはだいぶ俺たちに慣れてきたようだった。
彼女は俺たちが島について最初に出会った少女だ。
俺たちのことを見て顔を引きつらせたが頭を見ると事の重大さに表情を一変させて
どこに運べば良い治療ができるという話から宿やらなにやらの手配まですべて一人で取り次いでくれた。
それから頭の治療が終わるまで心配そうにそわそわしていたもんだ。
こんな極悪な俺たちのことでも、初対面の人間でも心配してくれることが、
なんだか海賊人生ですさんで心がいやされるような気分だった。
そしてあいつは、頭の治療が終わったとともに気が抜けたのか、ふらっとその場に倒れ込んだ。
その後、あまり場所を動かすのは良くないと言うことで頭は治療室に、
そして見張りを一人つけておくことになった。
レティは病院の仮眠室で眠った。
あとで起きてきたので俺たちが礼を言えば、なにやら口ごもって赤面して、
カーテンの後ろに隠れてしまった。
俺たちが困惑していると、そこのナースが
「レティちゃんは、極度の人見知りなの。
昨日は大事だったからとっさに動いたのかも知れないけれど、普段はああいう感じなの、
気を悪くしないでくださいな」
と教えてくれた。
それからレティは毎日病院に通ってクルーの暇つぶしの会話に付き合ってくれたりして、今に至るというわけだ。
そういえば先日やっと頭の意識が戻ったときにもレティは気絶したな。
そりゃあ、頭のあの恐ろしい目で見つめられて「誰だ、お前」なんて尋ねられたら俺だって怖い。
倒れたレティをみて、頭は珍しく動揺したものだ。
けれど慣れてくると、頭とレティは馬が合うみたいだった。
レティは腕を無くしたことがショックであろう頭のことをちゃんと考えて話をする。
だから頭も、そこまで荒れることが無くて俺たちはすごく助かった。
レティが病室で頭と話す時間、俺たちは何となくそーっと退室して病室の外で見張りをしたものだ。
レティが病院にいる時間ははじめ昼過ぎの一時間程度だったのが、
いまでは日が暮れるまでに至り、早く切り上げてもその後で俺たちの船に遊びに来たりした。