短編GIANTKILLING

□太陽ぎらぎら
1ページ/2ページ



 今日は、珍しく一日中暇だったから、すこし遠いけれどETUの公開練習の見学に来ていた。

正直ヴィクトリーのクラブハウスの方が近いし、

ヴィクトリーの方が強いのによくもまぁ来たなぁなんて思ったり…はしない。


だって私としては、はじめて見に行ったクラブがETUであり、大好きなクラブがETUで。

ただ友人からはよくヴィクトリーの方が強いし近いのになんでETUなの?なんてよく聞かれたり。

なんでだろうね?私も分からないけど。


でも日曜日の朝、バスに乗って好きな音楽を聴きながら

大好きなETUの練習場に向かうこの時間は、好きだ。


今日はクロさんの出待ちをして、

それで新しく買ったETUデザインのバッグにサインをもらって帰るんだ。

クロさん、あんまり人の顔覚えてくれないけれど王子と違って気合いたっぷりでサインしてくれるから。

バスは止まり、私は少し歩いた。

だんだんボールの音や選手の声が近くなってくる。

わたしも少し早足になって、クラブハウスに着いた。

人はまばらにいて、練習自体はまだ始まっていないみたい。

けど練習前の選手達がじゃれてる様子を見るのもなかなか好きだ。

練習はすぐに始まった。

練習中、ボールが私の前のフェンスまで転がってきたのを、

クロさんが拾いにやってきた。やっばい近い…!

「清川ー!フェンスじゃなくて俺にパスしろー!」

「クロさん自分が下手だからってそりゃ無いッスよ」

「んだとテメェ赤崎ー!」

至近距離で聞くクロさんの大声。

すごく耳に響く。

なるほどこれじゃあ相手もひるむわけだ。

練習は三時間程度で終わった。

私はその間中場所を少しづつ変えてクロさんを見学。

やはりいつ見ても男らしくて格好いいなぁ。

練習が終わって、私はすぐさま「クロさーん!」とさけ…べるわけもなく一人おろおろ。

ああ、もうこれだからダメだ。

サポーター歴は無駄に長いのに未だに声も掛けられない…

私は…私のクロさんへの、ETUへの愛はこんなものなのか…あ”ー!
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ