短編GIANTKILLING
□堺
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よく見かける奴ではあった。
それと美人だと思った。
誰のサポってわけでもないみたいだからサインもらったりしてる姿は見かけない。
けど、ホームでもアウェーでも、イベントや出待ちでもよく見かける。
まぁ、そのくらい頻繁に現れなきゃ俺だって気になったりはしない。
よくわからない人だ。
そう言えばこの前の出待ちの時、何時も彼女は握手だけはしていくからいつもみたいに握手をした。
その時に「堺さん、頑張ってください」
って言われた。
彼女は美人だしよく現れるからうちのチームでは有名だ。
石神によれば声をかけてくることは滅多にないらしくて羨ましがられた。
俺は冷淡にも「どのサポーターが声かけてきたって喜ばしいことだろ」と返した。
「まぁなー、堺はそういうとこちゃんとしてるから応援歴長いサポ多いよなー」
石神はそう言って笑った。
今言ったことは本心だ。
だが、少し彼女に気を引かれていたことも確かだったからそれを誤魔化すように世良を蹴った。