短編GIANTKILLING
□村越
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今日も、村越さんを出待ちしていた。
越さんはかっこいい。
とにかく。
だから越さんのことが大好きだ。
もうそれは、結婚したいくらい。
早く来ないかと待っていればほかの選手たちが次々出てきて、胸の高さまである柵越しに握手をしたり、サインをねだったりしている。
今日ゴールを決めたナツさんがはいってくると歓声が増す。
私もナツさんに声をかけた。
「ナツさーん、お疲れ様」
「うぃーっす!ありがとうございます!」
「めっちゃキマッてたよ!でもアシストした越さんのほうがかっこよかったけどね〜」
「ひでーっすよぅ!まぁでもカヤさんは越さんにくびったけだからなぁ…」
「あら、名前覚えていただけたんですか?」
確かにナツさんにはよく名前を聞かれていたけれど
(ナツさんはいつもサポーターの名前を覚えようとするのだ)とうとう覚えてもらっていたらしい。
「いい加減おぼえますよーっはははははー!」
「うれしいです、じゃあ今日はポッキーを買ってきました!
娘さんとたべてください。食べ過ぎて太っちゃだめですからね」
「食って太れ」
「あ、堺さん!」
ナツさんの後ろからは今日途中出場だった堺さんが現れた。
「次は俺がスタメンで点とってやる…」
「ひぃー!こえーっすよ堺さん!」
「おらさっさといくぞ夏木ー!」
そうして二人は嵐のように去っていった。
その少し後を世良君がそそーっとついていくのがかわいらしくて面白かった。
「村越ー!」
そのとき、誰かがそう叫んだ。
どうやら越さんが入ってきたみたいだ。
今日はどうしよう、写真を撮ってもらおうかな。
この前ツーショットでとってもらってからしばらくたつから待ち受けを変えたい。