【ビショップの宝物】



「ビショップ、なにをしている」

「う」

メイズとギャモンに向かってなにかを熱弁していたビショップの背後から冷たい声がかかる。ことの発端は十分前...。

ギャモンはPOG本部の廊下をフラフラと歩いていた。するとビショップとメイズがコーヒーを飲みながら仕事の話をしているのが見えた。面白い事を思いついたギャモンは二人に近づく。

「おう、POGのエライさん方」

「ああ、あなたですか。おはようございます」

「あんたなんでここにいるの?邪魔なんだけど」

クールなビショップと毒づくメイズ。いつも通りだ。

「ビショップさんよお〜、この前一人でニヤニヤしてたことあったろ」

「は?」

「(この人はいつもニヤニヤしてるわよ)」

「ルークにもらったノート見て」

しばらく考えたビショップは、急にだらしなくニヤついた。

「「う、わ」」

「ああ、あのことですか。誰に聞いたのですか?仕方ないですね。あなた方に特別に見せて差し上げましょう」

「いや、私は別に見たくな...」

メイズが引きつった顔で断ろうとするがもうビショップの耳には聞こえない。ビショップは懐からB5サイズのノートを取り出した。

「え、今どこから出した...?」

「ズボンに挟んでなかった...?」

ビショップは得意げな顔でペラペラとページをめくり、白マリモの横に「がんばれ びしょっぷ」と吹き出しが書かれているページを開いた。

「どうです?これ、ルーク様の手書きですよ?」

「どや顔やめろ」

「ちょっと可愛いのがなんかイラつくわ」

「他にもあるんですよ」

と他の白マリモを見せびらかすビショップ。

と、その時。

「ビショップ、なにをしている」

ビショップの背後から聞こえる、冷たいルークの声。

「・・・・・・」

ビショップとメイズの血の気が一気に引く。ギャモンだけが笑いを必死で堪えている。

「そのノート...」

「ルーク様、これは、あの、その」

「二人に見せたのか」

「・・・・・・」

「メイズ、中を見たのか」

「・・・は、い」

メイズがそう答えると、ルークは無表情のまま顔を真っ赤にした。

「そのノートを渡すんだ、ビショップ」

「・・・いやです」

「いいから渡すんだ、ビショップ」

「渡しません!」

「あの、可愛らしかったですよ...?」

メイズが思わずフォローする。どんどんルークの無表情が崩れていく。ギャモンはしゃがみこんで肩を震わせている。

「もーーー!いいから渡してよビショップ!!!」

「だって破るんでしょ?!渡しませんよ!」

「破らないから渡して!!!!」

「...本当ですね?」

「うん、絶対に破らない」

ビショップはノートをルークに渡す。渡した瞬間ルークはライターでノートに火をつける。

「んぎゃあああああああああ!!!!るるるるーく様?!?!なななな何を!?」

「焼いたよ!」

「いやいやいやそんな元気いっぱい言われましても!」

「あはっ燃えてる!いざという時を考えて表紙に油を染み込ませてあったんだ〜」

「用意周到すぎワロエナイ!!!」

「ていうか軽く火事レベルの火力なんですけど...」

「もうすぐ全てが灰になるよ!」

ルークが満面の笑顔でビショップに言った。

「...ルーク様もう一回それお願いします」

「ビショップ様ほんともういい加減にして」



おわり

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