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□俺が好きなのはイチゴソフトクリームなだけで……
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昼休みの校舎の屋上。俺らは二人でお昼を食べていた。俺は弁当、先輩はコロッケパンをお互いもくもくと静かに食べていた。
「明日さー……」
静かな中からは霧野先輩の声が響く。
「……暇?」
「え……明日…ですか?」
「うん、明日」
今日は金曜日。明日は土曜日だから、……休日だ。
「……あー、……はい…暇…というか……時間はあります」
俺はお弁当に入っていた卵焼きを口にいれながら言った。
「……じゃあさ……一緒にこれいかないか?」
先輩が胸のポケットから二枚の紙を出した。
「…一昨日出来たばっかりのやつ。ここにあるイチゴソフトクリーム奢るからさ」
「……男二人で遊園地ですか…」
「やっぱり…むさ苦しいか?」
「……さすがに男二人ではちょっと……」
まぁ、この先輩とだったらデート中だと見られるんだろーけど……
「……二枚しかないなら女子と行ったらどうですか?先輩ならほいほい女子がついてくるかと…」
「……俺狩屋と行きたいんだけど…」
……今なんて…
…俺と……行きたい?
「…は?」
「だから、俺は狩屋と行きたいんだけど?」
「………それはいったいどういう…」
「だって、俺狩屋のこと好きだし」
「………は?」
「…いや、だから…俺狩屋のこと好きだから狩屋と行きたいんだけどって…」
急にされた告白(?)にどう反応すればいいのだろうか。
自分のことを女だと思っていたのだろうか?……いや、たった今男同士と認めたばかりだ。それはない。
「……あ、別に告白に対しては無理して返事しなくていいよ、俺は狩屋とこの遊園地行きたいんだけだから」
先輩がチケットをパラパラとやっているためチラチラと目につく。
……遊園地に行くだけなら大丈夫じゃないだろうか?
もしかしたら、女顔の先輩を見てただの男女のデートに見られるかもしれないし、
「……一日くらいなら……」
「……ほんとかっ!?」
「…別に……遊園地の中にあるイチゴソフトクリームが食べたいだけです……ちゃんと奢ってくださいよねっ」
「はいはい」
こうして、俺は先輩と遊園地に行くことになったのである。