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□初恋〜蘭マサ♀〜
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これはある晴れた日のこと。
俺はその日、部活があったため、急いでグランドに向かった。
そのときにあったのが、あいつだ。
「あれ?先輩?」
首を傾げながら俺の顔をじっとのぞきこむ水色の髪の少女。
「おお、狩屋じゃないか。どうしたんだ?マネージャーなのにやけに早いな。」
俺がそう言うと、狩屋はむすっとして
「マネージャーだって、立派な部員ですからねっ」
と言った。
「はい、はい」
俺がクスクス笑うと狩屋はまたむすっと頬を膨らませる。
「そんなに膨れるなよ。」
俺はそいつの頬に指を差してみる。
「うりゃっ」
「?!」
ふふっ、驚いてるっ、驚いてるっ♪
「いっつもいたずらばっかりするからだぞ?」
俺がそう言うと、またむすっとしてべーっだっと言うように舌を出し、走ってグランドへいってしまった。
「(……一年のくせに)」
と思いながらも、俺は部活に行って練習をした。
練習も終了し、俺一人、木陰で休んでいると、急に頬に冷たさを感じた。
「えいっ」
ーぴとっー
ーぞわっー
驚きながら振り返るとそこにいたのはくすくすと笑っていた狩屋だった。
「冷たくて気持ちいいでしょう?」
そのままスポーツドリンクを俺に渡して、隣に座った。
「…何か用か?」
不機嫌に俺がそう言うと狩屋は俺の口に何か突っ込んだ。
「?!」
「つっ、……疲れてるときは、甘いもの食べるのがいいですよっ////」
真っ赤な顔でそう言うと、またうつむいた。
これは狩屋なりにお疲れさまって伝えているのだろうか。
「あぁ、ありがとなっ」
微笑みながらそう言うと、狩屋は顔を上げてにっこりと微笑んだ。
なんだよ、可愛いじゃん、こいつ。
こいつにあってからずっと俺の鼓動が鳴りっぱなしなことはさておき、
俺はこの口の中の半分溶けかけているチョコレートを味わいながら貴重なこいつの笑顔を眺めていよう。