inazuma

□掃除。
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「・・・おい、晴矢」

「あ?何だよ」

名前を呼ぶと、晴矢はダルそうに返事をしてこちらを向いた。

「貴様がこの部屋に入ってきてから温度が少しずつ上がっていくんだが」

ただでさえ外は暑いというのに、晴矢が発する熱気のせいで更に暑い。

「・・・しょうがねぇだろ。制御できねぇんだから」

だったら出て行けばいいものの何故私の部屋に居座っているのだろう。
自分の部屋に行けばいいのに。
しかも、自分の部屋じゃないくせにごろごろと寝転がっている。
くつろぎ過ぎだろう。

「何で自分の部屋に行かないんだ?」

「そりゃあ、汚いからに決まってるだろ」

決まっているわけでは無いと思うが。
部屋が汚いのは自覚しているらしい。

「・・・じゃあ私も片付けに行ってやる」

片付ければ自分の部屋に戻るだろうと考え、晴矢を無理やり部屋から連れ出した。

「えーマジで行くのかよ・・・面倒くせえ」

「じゃあ何時やるっていうんだ。どうせ後で後でとか言っておきながらやらないだろう」

実際、いつもそうなのだ。
自分のやりたいことを最優先し、やらなければならない事はしない。

「チッ・・・分かったよ」

晴矢はどうやら折れたらしく、大人しく付いて来た。
晴矢の部屋はすぐ近く。
歩いている時の会話は特に無かった。






―――――――――――
















「・・・ドアが開かない」

晴矢の部屋のドアノブをくるりと回しても開かない。
押したり引いたりとしてみたのだがビクともしなかった。

「そんなはずはねえ・・・」

試しに晴矢もドアを開けようとした。
力みすぎたのか、ドアが開いたと同時に晴矢は後ろに飛んで行った。

「・・・ぷっ」

思わず笑ってしまった。

「おい風介何笑ってんだよ」

「いや・・・別に何も笑っていない」

ドアが中々開かないという事は、ドアの前に何かあるのだろうか。
部屋を見た瞬間、絶句した。


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