小説置き場
□何よりも君がほしい
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『抱きたい』
そうは言って見るものの、実際簡単に上手くはいかなかった。
いつも毛利に「誰かに見つかったらどうする」と断られ続けてきたのだ。
でも今日こそは、と長曽我部は決めていた。
もう待てない。これ以上待ってたら本当にきりがない、というか待てない。
「毛利、俺今日ここで寝るわ。もう真っ暗だしよ」
「な…!何を申すか」
「いいだろ?さっき家臣たちに許しもらってきたぜ」
「いつの間にかようなことを…」
完全に防衛体勢な毛利に、長曽我部がぎゅっと抱きつく。
「むぐっ…やめぬか!」
「やめない…っていうかお前細すぎ…ちっちゃいし。女みてえ」
毛利の顔がみるみる赤くなっていく。
「愚か者…っ我をこれ以上愚弄するとゆるさぬぞ」
「あんたがほしいんだよ毛利」
「…っ」
「ほしい……」
切なげな長曽我部の声に、毛利の胸も切なくなる。
「あんたはシたくねえのかい?」
「そのようなことは…ないが、どうしてよいか分からぬ…」
毛利は正しいセックスの仕方は教わっているが、それは女性を相手にする方法でしかなかった。
男同士の方法なんて、聞いたことがあるはずがない。
「毛利……俺が全部リードするからよ。いいか……?」
「………」
毛利は小さく、頷いた。