企画物

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でこぼこな道ばり歩いていたら
ある日、彼女に出会った



汚ぇ服と泥だらけの素足で道端に蹲り、肩を揺らしてずっと泣いている女。

普段ならば特別気にしない。なのにこの時、俺は何故か足を止めた。

「……」

「……」

すると、俺の視線に気付いた彼女が不意に顔を上げた。睨む様に刺してきたその目はどこかまだ幼さを残すも力強く、そして底の無い深い憎しみに満ち溢れていて…

まるで、昔の自分を見ている様だ

「身寄りは」

「ない…」

「なら来い」

だから一も二もなく、俺は船へと彼女を連れ帰っていた。

「まずは風呂だ、その汚ぇ服を脱げ」

言うと彼女は躊躇なく裸体になった。

そこで…不覚にも息を呑む

白く美しく肌に
無数の傷、アザ、火傷の痕


…一体誰に何をされてこれまで生きてきた


それから三ヶ月が経っても彼女は船での生活になかなか慣れず、誰にも懐こうとしないまるで野良猫。

最初は手を焼くも、しかし彼女は少しずつ人間らしい心を取り戻し、そしていつからか俺の腕の中では子供の様に間抜けた顔で眠るまでに至った。

「そろそろ名を言え…」

「知らない…。だって名前なんて、相手の都合で勝手に変わるものでしょ…?」

不思議な女を拾った

「じゃあ、俺が名を付けよう」

「……」

「これから先、何があろうとお前はその名の上に生きるんだ…」

何でお前は俺に、「いつか笑って欲しい」とか…そんな事思わせるんだ





この出会いは吉か、凶か…

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