*side*

□内緒の話
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*宴の日*


おれは船長に内緒でベポに言ったんだ。

その名無しさんの洗濯物は、今ここでお前を張り倒してでも俺が持って行くと。

変な事なんて考えてない、ただ謝るチャンスを俺にくれと。
ベポに泣きついたんだ。

ベポはちゃんと謝って仲良くなってよと承諾してくれた。
アイツはいい奴だな。

そして俺はやっっっと、名無しさんに頭を下げる事が出来たんだ。
名無しさんも許してくれた。
自分も謝りたかったんだと。

念願叶ったとはまさにこの事だ。
俺は泣いた。心の中で。

宴の夜、俺は早々に名無しさんの隣を陣取った。
他の奴らの下世話な話なんて名無しさんだって嫌に決まってる。

どうやら名無しさんは酒はいける様で安心した。
男だらけの船で酔っ払ってたら俺は心配でしょうがねぇ。

最初はただキレイな女だと思ってた。
でも話してみると、コイツは面白い女だと気付いた。

あんな細い身体でよくまぁ海賊船にいたもんだ。
だからいい蹴り持ってるんだろうがな。

けど宴の途中、気付いたら名無しさんの姿がない。

料理を取りに行ったって聞いて暫く気にしてなかったんだ。
けど余りにも遅いから、まさかどっかで酔い潰れてやしねぇかと少し心配になって探しに行ってみる事にした。

けどトイレにもいねぇ、食堂にもいねぇ。
だから最後に名無しさんの部屋を覗いてみる事にしたんだ。

そしたらよ。

扉の内側で寝てやがった。
俺は少し飲ませ過ぎたかと中に入って名無しさんを起こそうとしたんだ。

けど名無しさんの顔を見て俺は…驚いた。

泣いてる。
名無しさんが泣いてたんだ。
俺は何でか胸が締め付けられた。
よく解んねぇけど哀しくなったんだ。

誰かが名無しさんに何かしたのか?

もしそうだとしたら、そいつを見付け出して俺が必ず海の果てまでぶっ飛ばしてやる。

俺は泣き疲れて眠る名無しさんをそっと抱き上げて、ベッドに寝かせて布団を掛けた。

明日理由を聞いてみよう。
多分名無しさんは何も言わないだろうがな。


そんで最後に寝てる名無しさんのおでこにキスをしたのは…内緒の話だ。

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