*side*

□たそがれ
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*ある日の午後*

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…」

俺は今、窓の外をぼんやりと眺めてる。

まさかこの俺にた・そ・が・れって言葉が似合う日がやって来るとは思いもしなかった。

人を好きになるって、何なんだ?
人は苦しい思いをする為に人を好きになるのか?

違うよな。

最初は楽しいんだ。嬉しいんだ。
でもいつからか溜息ばっかついてんだ。

俺が名無しさんを好きになったのは俺の勝手だ。
だから俺は名無しさんに答えを求めたりはしねぇ。

でもよぉ、何かよぉ。
他のクルーと楽しそうに話してる名無しさんを見るとよ…。
あの名無しさんの笑顔が俺だけのものだったら俺はどんなに幸せなんだろって、思っちまうんだ。

何だ、アレだ、嫉妬ってやつだ。

そんな事考えてるとムカついてきてよ、そのクルーのスネに思いっきりモップをぶつけてやるんだ。
もちろん先端の金具んとこな。

いや、でも分かってるんだ。
同じ船のクルー同士だ。

いくら男と女だからって、簡単に好きだ惚れただ言っちゃいけねぇって。

きっと惚れてなければもっと名無しさんと笑っていられるだろってのも。

でももう無理だ。
戻れねぇんだ。

俺は名無しさんが好き、ただそれだけだ。


何かそのうち俺、壊れそうだな。

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