*side*
□冷えた酒
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*風呂上がり*
いつもの様に風呂から上がって、俺は冷えた酒を取りに食堂に行った。
誰もいない時間の筈が、冷蔵庫の前に名無しさんがいた。
俺は一瞬、体内時計が狂ったのかと思った、が違かった。
名無しさんは気象の勉強を始めたと言ってきた。
へぇ、なかなか俺は関心した。
俺の上半身に目を泳がす名無しさんを見て、俺は意地悪く正面の席に座ってやった。
こんな女もいるんだな。
俺は楽しくてしょうがなかった。
ペンを持つ名無しさんの指をじっと見て、きっとコイツ全然勉強になってないだろうなんて、心の中でニヤけていた。
俺の傷に気付いた名無しさんは酷く動揺していたが、俺は全く気にしてない。
ただの過去、それだけだ。
人に言えない名無しさんの過去と俺の中の終わった過去。
どっちが重いか軽いかなんて、それは測れるものじゃない。
名無しさんは他の女と違う。
甘えないし媚びない女だ。
それが逆に男を煽ってるって事を、コイツが1番分かってないな。
名無しさんを少しずつ俺の色に染めてみようか。