*side*
□まったく
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*酒の席*
何で俺がこんな事を…。
シャチの奴はどうでもいい。
アイツはまったく何かが足りない。
相談があるんだと言った奴が、自分が来ないで俺を呼び出しやがった。
事情は全部聞いた。
船長に乗せられて自滅しやがって。
俺はアイツを小突いてやった。
気持ちは分かるがそれで名無しさんに手を出すなと。
終いには俺を相手に、名無しさんに謝る練習までしてきやがった。
シャチの奴は勝手にやればいい。
が、名無しさんの場合はそうはいかない。
仕事中もぼんやりとして、無理して笑うあいつを見たくなかった。
俺だったら名無しさんにこんな顔をさせる事はないのにと、余計にアイツに腹が立った。
それで俺はまたらしくない事をした。
名無しさんには内緒で、シャチにちゃんと謝るようにと釘を刺した。
それなのに何なんだ、シャチの奴は。
名無しさんがいるのに不貞腐れた顔しやがって。
俺の身にもなってみろと、余程言ってやろうかと思った。
食堂に1人残された俺は、自分が可笑しくてしょうがなかった。
俺はいつからお人好しになったんだ。
まったく自分が下らない。