*side*
□単純な奴
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*挑発の食堂*
またシャチの奴がやりやがった。
食堂で船長に喰って掛かりやがったんだ。
明らかに挑発的な目をして
俺の隣に座ってきやがった。
こいつは絶対何かやらかすと
俺は勿論、あの鈍感な名無しさんでさえ予感しただろう。
アイツはなんであんなに…
ガキで救い様のない馬鹿なんだ。
俺だって船長に聞きたい事は山程ある。
だが立場ってものがあるだろうに。
何をしたって船長に敵う事はないんだ。
もっと自重する事を学ぶべきだろう。
分かってはいる。
船長の名無しさんに対する態度は今までの他の女ではあり得ない事だと。
そして名無しさんの船長に対する気持ちも分からない訳だ。
それが更にアイツを煽ってるってな。
名無しさんは何だかふわふわした女だ。
男なら誰だってそんな名無しさんを自分の色に染めたくなるだろ。
まだ男の愛を知らない。
あいつの過去考えればそれは当然の話だな。
ビルジーグ・ガロンという奴は糞だ。
いつか俺達がその男を海へ沈めてやると皆で話したところだ。
次の島には海軍がいる。
名無しさんが変な気を起こさない様、船長はまず下船させないと決めた。
船にいる間はシャチが付いている様に指示が出た。
アイツはアホみたいに喜んで引き受けてたな、単純な奴だ。
注意を払っているつもりだったが
あんな事になろうとは
この時は考えてもいなかった。