*

□ホントは狼
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「ねぇ、シャチぃ…」

私達はただのクルー同士

だけれど飲み過ぎたその勢いで彼の部屋になだれ込むのはいつもの事

だってシャチは優しくて
疲れた私を癒してくれるんだもん

「はいはいおいで。トントンしてあげるから…ほい!」

ゴロりんとベッドに転がされても
女としての危機感など皆無

後は貴方に任せます

「今日はお疲れ、おやすみ。」

あぁ…

うつ伏せに蕩ける私の背中にトントン…
まるで子供を寝かしつける様な
この旋律が堪らない

「シャ、チ…」

「あ…?」

「私、ね…」

「いいから寝ろ…」

途中から記憶は曖昧で
大概そのまま寝てしまう

だから知らないです
その後の事なんて

「シャチぃぃ…」

「……」

「大好きぃぃ…」

だらしない顔で告白…
え、毎回ですか

「寝た、か…」

私が寝息を立てたのを確認するとシャチはいつもご丁寧にお姫様抱っこで部屋まで運んでくれた

でも今日は…

「毎回そんな無防備な姿で好きとか言われる俺の身にもなってくれよマジで…」

当てのないぼやきが
虚しく廊下に響き渡る

「お前の事、大事だから我慢してっけど…俺もう、そろそろ限界かもよ?」





次は…帰さねぇから

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