《1》

□無窮の守
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コンコン

突然のノックにベッドの上で思わずびくりと肩を揺らした。
もう歓迎会が始まるのだろうか。

「は、はい!どうぞ。」

ガチャ











入って来たのはトラファルガー・ローだった。

「ト、トラ…いえ、船長!どうしたんですか?」

私は思わずベッドから立ち上がりトラファルガー・ローへと歩み寄った。

「片付いたか」

そう言いながら彼は部屋に目を遣った。

「あ、はい。ベポとシャチが手伝ってくれたんで…」

「座れ」

「は、はい?」

唖然としたまま突っ立っていた私にトラファルガー・ローは顎でベッドを示した。

「包帯の交換とガーゼだ」

よく見るとトラファルガー・ローの手には箱が握られていた。

「はい…」

何となくその空気に押され私はおずおずとベッドへ腰掛けた。

トラファルガー・ローはベッドの傍にある椅子に腰を下ろすと机に置いた箱を開け、中から包帯や薬を取り出した。

「手出せ」

そう言われ私はトラファルガー・ローに向けて両手を差し出した。

「アホか、左手だ」

「あぁぁ…すいません…」

なんだろうかこの空気感。
やはり重く、厚い。

そう考えている間にもトラファルガー・ローは慣れた手付きでスルスルと包帯を解いていく。

「痛みは」

「あ、いえ。今の所は、全然。」

あっという間に包帯と固定が外された。

「う…わ…」

初めて見る自分の左手首に思わず声が出た。
そこは紫色に腫れ上がり視覚から痛みが脳へと伝わった。

「これ…いつ治るんですか…?」

「そうだな、まだ…」

と言った次の瞬間、何を思ったのかトラファルガー・ローが私の左手首を軽く反らせた。

「痛ぁぁぁぁぁ‼」

突然の激痛に私は思い切り顔を歪め涙目になりながらトラファルガー・ローを睨みつけた。

「何をっっするんですかっっ!」

「クク…見た目は悪いが大した事はねぇ。1週間で固定を外して大丈夫だ」

トラファルガー・ローは至極愉快そうに口角を上げながらそう言うと、手首をまた固定して包帯を巻き端を金具で留めた。
それを終えると次は右頬の傷に薬を塗り始めた。

私はズキズキと脈打つ手首の痛みの余韻に耐えながら、近距離にあるトラファルガー・ローの顔を無意識に見つめていた。
新しいガーゼを貼りテープで留めるとトラファルガー・ローが私を覗き込み視線を合わせてきた。

「……」

何故か私は目を逸らす事が出来なかった。
そしてその藍色の瞳を綺麗だと思っていた。

暫くするとトラファルガー・ローが口を開いた。










「お前を助けるつもりはないが
俺がお前を守る」










「それから跡を残したら…お前をバラす。だからガーゼは取るな」










そう言うと箱を手に取り部屋を出て行った。
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