《4》

□別れの予感
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リンと別れた私は今度こそ船へ向かった。

「ハハ…久しぶり。」

港に浮かぶ黄色の船体が目に入ってきた途端、自然と顔が綻ぶ。





しかし梯子を登ろうとふとその先を見上げた、ら…

「ん…?」

トラファルガー・ローが上から私を見下ろしていた。

「えッ…」

そして

「"ROOM"」

「は…?」

「"シャンブルズ"」

「ぐ、あッ…!」

気付けば梯子を登る事なく私は彼の腕の中に収まっていた。

「あ、ありがとうございます…」

「そのつなぎで外を歩くな」

「え、あぁぁ…すいません…」

真近でじろりと見据えられ私は固まったがしかし、その声がやけに懐かしく思えた。

「もうすぐ他の奴らも城に戻る…それまで俺の部屋にいろ」

「は、はい…」

私は彼の後ろを歩き船長室へ入った。










ガチャ

トラファルガー・ローは何も言わず私をソファに座らせると、ひゅるりと帽子をベッドへ投げやり隣に座ってきた。

「……」

「……」

私を…見ている。

「……」

「……」

その瞳の色に…何故か動揺した。

「せ、船長…?」

堪らず声を発する。

「3日後に出航と聞きました…」

「あぁ…」

「それまで私、何をしてればいいですか?」

「騒ぎを起こすな…それだけだ」

「騒ぎ…?」

きょとん…と彼を見た。

「あの、騒ぎは起こしませんから…何か仕事をくれませんか?身体は至って元気なんで。」

しかし彼は目を逸らしただけで何も言ってくれない。

「…船長?」

「……」

「あ、そうだ…さっき新しいタトゥも入れ終わりました…許可ありがとうございました。」

すると…

「脱げ…」

「え…?」

「見せろ」

「……」

口角を上げたトラファルガー・ローはそう言うと私に立つよう目で促してきた。

「は、はい…」

私はそれに従い彼の前に立つとゆっくりとつなぎのファスナーを下ろし始めた。

「あれ、え…っと…でも船長?つなぎだから見せづらいですよね…あの、今度部屋着の時にでも…」

「俺は脱げと言っただろが」

「へ…?」

戸惑う私をまるで楽しむかのような彼はソファの背凭れに両腕を広げ少し首を傾げながらじっと私を見ている。

「……」

「……」

ジジジ…
私は最後までファスナーを下ろし腕を抜くと、ダボダボのそれはすぐにすとんと足元に落ちた。

痛い程に感じる視線の中、くるりと背を向けキャミソールと下着を上下にズラし、刻まれたこの船のマークを彼に晒す。

「船長?」

「……」

「もう…いいですか?」

私はつなぎに手を掛けた。
その時…

「こっちへ来い」

彼は人差し指で私を呼んだ。

「あ、でも…」

「来い」

「はい…」

トラファルガー・ローの目の前に立つ。
するとすぐに腰を掴まれ引き寄せられた私は彼の脚の間で膝を立てる格好となった。

「全部脱げ…抱いてやる」

がっちりと腕で腰を密着させられていてどうにも動けない。

「あの…」

しかし、プチン…
私の返事を待たず彼は片手で簡単にブラのホックを外すとすぐにその手でキャミソールを捲り乳首を口に含ませ、そして片膝を持ち上げ彼に跨がせて脚を広げさせた。

「船、長ッ…」

途端、舌の動きに身体が疼く。
内腿を這う手に脚が震える。

トラファルガー・ローは私をそのままソファへ倒した。

「ん…あァ…」

下着の上から割れ目をなぞられた私は熱い息を漏らす。

すると、乳首を優しく吸い上げリップ音を立てながらゆっくりと唇を離した彼は、私の顔を覗き込んで…こう言った。

「脱げと言われたら脱ぐのか」

「え…?」

「抱くと言われたら抱かれんのか」

「……」

「まるで娼婦だな」

「…ッぅ!」

突然、私の肩を掴み力尽くで引き上げてきた。

「男に押し倒されたら抵抗しろ…分かったか」

私は訳が分からず、乱れた髪が唇に張り付いたまま彼を見遣る。

「記憶が無くとも、自分を簡単に売るんじゃねぇ!」

怒鳴られた私はびくりと肩を揺らした。


「それが出来ねぇなら…」

「……」

「もうこのまま、忘れちまえ」


彼は手を離し舌打ちをすると立ち上がり、扉へと歩き出した。

彼のその言葉に

「あ…ぁ」

チクリ…頭痛がした
その瞬間、

「う…っ!」

酷い耳鳴りに襲われた私はその衝撃に頭を抱え身体を丸めた。


…『お前は俺の女だ』


「うぅ…ッ!」


…『俺達は…永遠だ』


「んぅぅ…ッ…!」


…脳内を駆け巡った言葉は


突然、身体中に汗を滲ませ顔を歪ませた私にトラファルガー・ローが歩み寄る。

「…おい」

「離し、て…ッ!」

彼の腕に強く抱き締められた私はしかし必死にそこから逃げ出そうとしていた。

彼は暴れる私を担ぎ片手で棚の中から注射器を取り出すと手際良く薬液を吸い上げてからベッドへ下ろした。

「暴れるな…鎮静剤だ」

「…んぐうッ!っ!」

うつ伏せに押さえ込まれ

「や、だ…ぁッ…!」

パニックに陥り抵抗したが…
無駄だった。

チクリ…

涙が滲む視界に見えたのは、注射器を抜くトラファルガー・ロー。

「……」

「……」

私は、彼を睨んだ。

「何で、…怒る、の…?」

「……」

「何、で…恐い顔、するの…?」

ポロリ…涙が一粒

「船長、なん…か、嫌い…」

自分が何を言ったのかさえよく分からぬまま、苦痛と同時に身体の力も抜けた私はゆっくりと目を閉じた。

























諦めたら…
楽になれる、かな
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