SS格納庫
□春、彼方
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桜の花の季節になると思い出す
駆け抜けて行った男たち
夢を追い
『誠』を胸に、浅葱色の風にのって
天(そら)へと駆け上って行った、彼ら
私は、涙で霞む目で、彼らの背中を見つめ
ただ祈る事しか出来なかった
・・・死なないで・・・
・・・無事で帰って来て・・・
祈りは虚しい
戦の業火をものともせず
激しく、爽やかに、潔く
口許に微笑みさえ浮かべ
死してなお、その魂の輝きは気高く美しく
凛とした光を放つ
志に生き、志に死んで行った彼ら
その身体は朽ちようとも
彼らは『永遠』を手に入れた
いつまでも・・・いつまでも・・・
輝き続ける
忘れない
愛する人たち