書庫<幕恋:短編メイン>
□白檀
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風を気にしながら、大久保さんがしていたように、落ち葉を集める面積を小さめにして、集めた葉はすぐに籠に入れる様にしていった。
いつまでたってもなくならないように感じていた落ち葉も、いつのまにか減って来ているのが見てわかるようになると、それも更なるモチベーションになって意外に作業ははかどった。
「終わった〜!」
帚を手にしたまま、思いっきり背伸びをする。
庭を見渡すと・・・うん!綺麗!
チラホラと落ちている葉っぱは、秋の景色のご愛嬌という事で良いよね?!
「小娘」
・・・げ?! 今度は何よ?
「何ですか?」
「終わったのなら、茶を淹れろ」
はい〜?
やっと一仕事終わった私に、今度はお茶を淹れろっていうんですか?
人使い、荒っ!
「先ほどの客人が持参して来た菓子がある。茶はお前の分も淹れて来い」
え?!お菓子があるの?
しかも私の分のお茶もって事は、私も一緒にお茶とお菓子を・・・って?
えぇ〜、それって嬉しい!
「落ち葉かきが早く終わっちゃって、年末まで時間が出来ちゃいましたから、お茶くらい淹れて差し上げますね」
お茶とお菓子が嬉しいなんて、間違っても素直に認めてなんかあげないんだから。
「茶は私の部屋へ持ってくるように」
あ〜、あの口元の薄笑い。
絶対に見透かされてるよね〜。
大久保さんって、悔しいけど本当に何でもお見通しって感じ。
仕方ないよね。
ま、今日のところはお菓子に免じて良しとするかな。
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