麗しき死蝶

□2.美女と男と。
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 綺麗な髪を靡かせ、街を颯爽と歩くひとりの美女。

道行く誰もが、すれ違うたびに見惚れてしまう美しさには、どこか妖しいものがあって、一瞬で誰もを虜にしてしまうようだった。

 そんな美女を見て、ナンパしない奴がいないわけがない。


「君、キレイだねー。どう?僕の絵のモデルにならない?」

言っていることは、そこらの輩たちよりも何倍も品性を感じられるが、その顔には品の欠片もない、下品な笑みが浮かべられていた。

美女は無表情のまま、その男を一瞥すると、汚い物を吐き捨てるかのように言った。


「‥醜いわね。消えて」

「あ?」


唖然とする男などには目もくれず、スタスタとその横を通り過ぎる。

しばらくして後ろから男の怒鳴り声が聞こえたが、そんなもの興味などない。

が、その美女は、男から数メートルほど離れたところで振り返った。

顔に悪戯そうな笑みを浮かべて。




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