麗しき死蝶

□5.鏡合わせ。
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『姉さんと私は違うもの――‥』

憐の声が頭から離れない。

消えては押し寄せて、まるで波のよう。

「黙れ‥黙れ‥黙れ‥っ!!」

とりあえずあの場から離れた燐は、自分がよく居る廃墟となったビルに逃げ込んだのだった。


「なにが違う!?お前とあたしは、同じように生まれ、同じように育ってきた!!なのに、なのに‥!!!」


さっきは平然を装っただけ。

本当は、憐への憎しみが更に募り、怒りに気が狂いそうになっていた。

現に今の燐は、綺麗に結っていた髪を乱し、鬼のような形相をしていた。

「許さない‥絶対に許さない‥お前だけは‥!!」

あまりの怒りから握りしめた手からは、爪が皮膚に食い込み、紅い血が滴り落ちる。

痛さなんて感じない。

それほどまでに、憐への怒りが募っていたのだった。

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