うたぷり

□贈る唄
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――トントン

ドアがノックされた。

「はーい」

ドアを開けるとそこにはセシルが立っていた。

「どうしたの?」

セシルは少し考えて口を開いた。

「音也に相談が有るのです…」

「え、俺に?」

「yes」

突然の事に驚いた…だって、セシルにこれまで相談なんてされた事なんてないししかも、あんまり喋った記憶もない。

「まぁ、とにかく上がりなよトキヤと嶺ちゃんは今居ないしさ!」

「そうですか?では、お邪魔します」

セシルはキチンと靴を並べた俺はセシルを感心した。でもまぁ…靴を並べるのは普通の事だよね。

「そこで座って待ってて」

「はい」

俺はコップにお茶をついでセシルの所に戻った。

「音也…」

「何?」

セシルは真剣な顔で俺の顔をジーーッと見た後小さく彼は呟いた。

「私…母と父にプレゼントを渡したいのです。」

「プレゼント…?」

俺はまさかセシルからこんな相談されるなんて思っていなかった。だってお父さんもお母さんも居ない俺に言ってくるから…。

「ごめん…セシル、俺その相談には乗れないよ…――。」

「何故ですか?」

「うん…俺の母さん死んじゃってそれに父さんも今、何処に居るか分からないんだ…だからあんまり家族の話を聞きたくないんだ…。」

「え…?」

セシルはまさか俺に親が居ないなんて思わなかっただろうねでも、事実なんだよ俺には父さんも母さんも居ない。

「だから、ごめん…」

「で…す…」

「?」

「嫌です…!」

俺はビックリした。だって…セシルが――。

「私は音也に…音也に一緒に考えて欲しいのです!!」

「な、何で俺なの!?他に那月とか翔とか居るじゃん!」

「確かに…音也の言うとうりです。が、もう既に音也以外の皆さんには頼みました。でも!!」

「でも…?」

セシルはそこで溜め息を吐きぽつぽつと話出した。

「誰もまともな答えをしてくれないのです…。」

「例えば?」

「例えば…那月、あれは有り得ません!!」

――――――――――――

「私の父と母にプレゼントを渡したいのですが」

「良いですね♪僕、お手伝いしますよ!」

「ありがとう。ですか…まだ、何をあげれは喜んで貰えるか分からないんです」

「なーだ、そんなの決まってるじゃあありませんか♪」

「え?」

「“手作り”です!」

「手作り…ですか?」

「はい♪早速、簡単なお菓子を作ってセシル君のお父さんとお母さんにあげましょう♪最初に僕が作りますから味を覚えてそして、手順を覚えて下さいね♪」

「お菓子…?那月が作るお菓子は確か翔が」

『良いか!那月が作った菓子や飯は絶対に食うなよ!!もし食べたら“死ぬ”ぞ!!』

「あ、那月ー!!要りません!!だから、作らないで下さい!!」

「え、もう出来ましたよ?」

「え…?」

「さぁ、どうぞ遠慮せずに食べて下さい!さぁ!!」

「ぃ、いやーーーーーーーーー!!!!!」

―――――――――――――

「それは、災難だったね…」

「そうです」
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