腐話
□奪い合い - ☆
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「ユーヤ…」
「なんだ?」
ハルトとトーマの家に泊まらせてもらっているコノネとユーヤとアユミ。
現在時刻は夜の1:00を過ぎた頃で、三人はそれぞれの部屋でベッドに横になっていた。
部屋割りはあまり場所を取れないためアユミで一部屋、コノネとユーヤで一部屋ということになった。
そして今、どうも目が冴えて眠れなくなっていたときに、隣のベッドで寝ていたはずのコノネが話しかけてきた。
「あれ、起きてたんだ…」
「どうにも目が冴えるんだ。眠れない」
「そっか…」
隣をちらりと見ると、コノネが何か言いたそうな表情をしてこちらを見ていた。
「……どうした?」
「へ?」
「何か言いたいことでもあるんだろう?」
「え、あ……う、うん。そうなんだけど…」
コノネは少し頬を染めながら遠慮がちに言った。
「あ、あのね!」
「なんだ、早く言え」
「そ、その…なんかちょっと心細くって。だから……あの…」
「……………」
ユーヤは、なかなか話を切り出さないコノネに少しイラつきながら、同時に愛しさを感じた。
恐らく、一気に環境が変わったがために不安が募り――要は一緒に寝て欲しいということだろう。
コノネの心境を察したユーヤは、ベッドから降りて隣のコノネのベッドへ潜り込む。
「ユ、ユーヤッ?!」
「うるさい。こうして欲しかったんだろう?」
「……うん」
いきなりの行動に少し慌てたコノネだったが、ユーヤに後ろから抱きつかれると、安心したのか大人しくなった。
それをいいことに、ユーヤは後ろから強く抱きしめた。
コノネの香りがする。
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