無酸素状態

□開かない鍵*1
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暗い。


夏なのに閉め切られた雨戸


21℃に設定されて


冷え切った部屋。



そんな室内に響くのは


キーボードを打つカタカタという音だけだ。


『……』


つらくない。

もう慣れてしまった。

ネットに逃げて

入り浸って

ここが居場所だと錯覚することに

もう自分には何も残っていないのだから、

今更感傷に浸ったところで

戻ってはこないのだ


今までの友達。

…事故でなくした家族


……大好きだった幼馴染……



一人には裏切られ

一人には信じてもらえず。


ひきこもる事でしか自分を保つことができない。



あの日、あの場所で。



一体誰を恨めば、呪えばいいの?



死にたいけど、

結局勇気もなくて

痛いのも苦しいのも嫌で。


今の状態はきっと

自分から誤解を解く努力や

戦う覚悟がなかったからだ。


自分が悪いんだ……


自分は世間、世界の害だ。


このまま引きこもる事で


世界は正常に動くんだ。


『とか言っちゃって…

 私中ニ病乙ってるなぁ』


頭の中で考えてたらなんかはずかしくなってきたぞぅ…

『誰も聞いてないし!!!!

 うん大丈夫さっ!!!』

「お前本当に引きこもりかよ?」


『ファッ!??』


そう言って背後に現れたのは

幼馴染の悠樹だ。

『おいおい、うそだろ悠樹。

 ここは仮にも乙女の部屋だぞ

 てか鍵掛かってたはずなんだけど

 末代まで祟るぞ馬鹿野郎。』

「このパソコンとゲームと漫画しかない部屋がか。

 あ、鍵は開いてたぞ。」


そういえばさっき風呂行ったっけ

あちゃー。
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