生物委員会委員長は苦労人
□08:久々知
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「………あの、久々知先輩」
元気よく返事した生徒達とは違って一人、俺に聞きずらそうに手をあげる一年生がいた。
『はい、何でしょうか………とその前に名前をお聞きしても宜しいですか』
「あ、はい。俺一年は組の摂津のきり丸って言うんすけど、その………中在家先輩や不破先輩は戻って来んすか?」
「「「「「「あ、…………」」」」」」
周りにいた下級生が皆思っていた事を聞いたのだろう摂津の。―――そりゃあ、先輩がいなくなりゃ不安にもなる。
あいつら後輩を不安にさせやがって。正気に戻ったら一発喝を入れてやんねーと。
『当然ですよ。中在家だけではありません、他の上級生もです。君達下級生が自分の先輩を信じてないと駄目でしょう?
私が絶対あいつらを正気に戻してあげます。……一時的に得体の知れない俺が委員会を纏める事に成るが、それでも手伝ってほしい……頼めますか?』
「「うわぁ、舞琴先輩途中口調が素に戻ってましたよ」」
わかってますよ、態と素に戻したんです。竹谷は常日頃、伊賀崎は偶に俺の素の口調を聞いているからあまり驚かない。
斉藤は俺が私≠ナはなく俺≠ニ言った事に少々驚いた様だ。
―――他の周りの下級生は口を開き阿呆の様な顔をしている。くすくす、と笑いがこみ上げる。
『改めて摂津の、手伝ってくれますか』
「はいっす!!」
今度は間髪開けずに元気良く且素早く返事が返ってきた。―――笑っている。良かった、これで安心かな。
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