生物委員会委員長は苦労人2

□43:久々知
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学園長が俺の顔を見つめる。俺の意思を確かめるように。



「応えは決まって居るようじゃな…」

『はい』


「後悔は…無いのじゃな?」

『ええ。私の意思は揺るぎません。学園の為、守るべき者の為ならば己の道を犠牲にする事など厭わない』


「本にお主はあ奴に似て居るのう」

「…本当にお前は何もかもを一人で背負い込んでしまう」



俺の人生だけれど、自分で決めた事だけれど…――――後悔が微塵もないと言えば嘘になる。それでも、やらなければならない。それが使命だから。

悲しそうな、悔やんでいるような顔をしている学園長と山田先生を見ている方が余程辛い。



『自分で決めた事なので先生方にその様な表情をされると罪悪感を抱いてしまうのですが』



態と苦笑交じりにそれでも後悔を感じさせないように明るい声音で声を掛ける。



「それでは、頼む」

「私たちを許してくれなくともいい。…お前を誇りに思うぞ」



頭を深く下げて来る先生方。その光景を見たのは先輩が帰らぬ人となり、俺が先輩の後継に選ばれた日以来だ。



嗚呼、痛い。痛いです。心臓が握り潰される様な感覚だ。

本当は運命に逆らいたい。決められた道を歩くこと等したくないっ――!


でもそれは、決して知られてはいけない心の叫び―――。



だから、笑顔を張り付ける。崩してはいけない。この心優しき人たちの為に。


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