生物委員会委員長は苦労人2

□43:久々知
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【43:舞琴】



落ち込んでいる兵助がこの上なく可愛く思うのは俺が兄と言う立場に居るからだろうか、それとも元々弟と言う生き物自体が可愛い物だからだろうか。



『ヤバい、今日は頭がさえない…』



只今学園長の庵へ向かっている途中である。先ほどの斉藤と兵助の遣り取りで弟が可愛いと改めて思った俺の思考は壊れている様だ。(否、弟は可愛いものだがッ)



『早朝に失礼致します。学園長、お邪魔しても宜しいでしょうか?』

「ん?おお、久々知か。こんな朝早うに」

「学園長、久々知舞琴ですか?私からも少し話がありますのでご一緒しても宜しいですか?」



おや。山田先生の声が聞こえるではないか。こんな早朝に山田先生も学園長に報告があったのだろうか。

若しや、昨晩の夜警で何かあったのか?…―――と言うか、俺に話があるのか。

山田先生の気配に気づけないほど弛んでいるとは…。別に先生は気配を消している訳でもないのに…。



「早く入ってきなさい」

『…お早う御座います、学園長、山田先生』

「「お早う」」



丁度良い。山田先生が居られるのであれば今日の活動予定を伝えてしまおう。その前に雑渡さんからの文の報告が先だ。



『今日の活動予定の報告と内密にして頂きたい報告をさせて頂きます。先ずは内密にして頂きたい報告から…』



懐にしまっておいた文を取り出し先生方の前に差し出す。



「「何々…――!!」」



先生方の表情が強張る。そりゃそうだろう。皆女神騒ぎで他国の動向を収集するのを怠りがちになっていたんだ。

夜警をしていたとはいえ他国の動向までは解りかねない。



「…成程。昨夜、雑渡昆奈門の言っていたのはこれの事か…」

『??山田先生は昨夜、雑渡さんに遇われたのですか?』


「嗚呼。お前に三日後までに宜しく。と伝えてほしいと言われたのだ」

『三日後…ですか』



もう答えは決まっているのに。すべきことを見誤るな。俺が託されたのはこの学園の平和なのだから。


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