生物委員会委員長は苦労人2
□68:雑渡
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【68:昆奈門】
忍たま六年い組、久々知舞琴くん。
大切なものの為なら、自身の全てを捨ててしまえるほど純粋な心の持ち主。
それが、私が彼に抱く印象だ。
『まさか、文を書いてくるとはね』
「組頭が敢えて、契約書を渡さなかったのに」
尊奈門が愚痴ている。
こちらとしては、実力のある忍者を採用したいのは山々だが、将来への希望のある忍たまを、本人が望まずして組に引き入れるのはどうかと考え、
敢えて口頭での返答を求めたのだが、彼はお気に召さなかったようだ。
「契約を破棄できるよう口頭で返答を求めたのに…無駄でしたね」
書面は後の証拠になる。
口頭なら戦に我々が加担した後、契約に同意したわけではない。と一言いえば破棄できるものを、彼は敢えて書面に残した。
『ま、それが彼なりのけじめなのだろう』
「我々としては優秀な人材が手に入るのは喜ばしい事ですが」
陣内の意見はもっともだ。しかし、
『彼は、一癖も二癖もありそうだよね』
それに、何とも言えぬ危うさがある。
「私はあの舞琴とかいう忍たまと上手くやっていける自信ありませんよ」
尊奈門は忍術学園で私と逸れた際、彼と関わったらしいけど、たしか布団を敷かされたと言っていた。なぜ布団?
ま、そんなことは、どうでもいい。
『早くタソガレドキ城に戻り、殿に報告しないとな』
さぁ、戦の準備を始めよう。
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