少年少女のお話

□少年期リメンバー
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な・・・なんだこの子は!?
突然現れた綺麗な少女は、何故か俺を庇うかのように目の前に仁王立ちになり、斉藤とその取り巻きを睨んでいた。
「・・・美しい」
「「「え?」」」
斉藤が行き成りそう口走った。
「・・・美しい。こんな女性は始めて見た」
「それはどうも」
少女は全く顔色を変えずにそう答えた。
「ねぇ君。俺の彼女にならないか?」
「「「はぁっ!?」」」
「「「えぇっ!?」」」
これにはクラスの全員が騒然とした。
あって数秒だぞ!?なんだこいつ!どこまで屑なんだよ!
「なんだったら今日の午後からデートに行こう。素敵なカフェがあるんだ」
「ちょ、ちょっと斉藤君!今日は私と行くんじゃ―」
「ごめんよ。今は彼女が恋しいんだ」
「そ、そんな・・・!」
まさか斉藤が女性との約束を破るとはな。
初対面なのになぁ・・・結局顔かよ。
「遠慮しておくわ」
「なっ・・・!」
お。斉藤の誘い断ったやつ初めて見た。
「なぜだい!?俺は完璧な人間なんだよ!?」
「完璧な人間なんていないよ。それに、私貴方みたいな人嫌だし、好きな人いるから」
「は・・・はぁっ!?なんで・・・」
「大丈夫だった?」
少女がこちらを見てきた。
少女は綺麗な腰まで届く黒い長髪で、目は綺麗な青色だった。
「あ、うん。ありがとう」
「当然のことをしたまでだよっ!」
少女は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。
・・・あれ?
菊の脳裏に一瞬だけ、懐かしい風景が映った。
なんか引っかかるんだけどなぁ・・・くそっ。思い出せない。
「じゃ、じゃあ、そのす、好きな人とやらはど、どこにいるんだい!?」
まだ若干ショックを受けている斉藤がどもりながら少女に質問する。
「ここにいるよ」
と言いながら少女はある少年の腕を掴み、自分の方へと引き寄せた。
その少年は―
「「「えーっ!?」」」
「・・・俺?」
―菊だった。
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