少年少女のお話

□『ヒビヤ』と『コノハ』
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数分後 病院前
「なんだったんだ・・・」
「さあな」
ヒビヤは手術室へと運び込まれ、エネはコノハと話があるらしく、シンタローとエネは病院に残る事にした。
「・・・そういえば」
「何?」
「菊の世界であの人達は出てくるの?」
「ヒビヤとコノハか?」
「うん」
「ああ・・・だけど俺も詳しくは知らない。あくまでも『カゲロウデイズ』っていう曲と、『コノハの世界事情』ってゆう曲と、『チルドレンレコード』って曲の中に出てくる人物・・・って事しかわかっていないんだ」
「へー」
「それにしてもエネちゃんどうしちゃったのかな?」
あいつ・・・たしか出てきたのは『人造エネミー』だけだよな・・・そういや、『シニガミレコード』の化け物ってまだ現れないのか・・・?後『ヘッドフォンアクター』のあいつも出てきてない・・・ん?そういやあいつとエネって・・・
「・・・なあモモ」
「ん?」
「エネって一年前にシンタローのパソコンに現れたって言ってたよな」
「うん」
「あいつ、自分がどういう所から来たとか話してたか?」
「ううん・・・でもなんで?」
「いやな・・・俺のいた世界で『ヘッドフォンアクター』っていうやつがあるんだけどさ・・・それに出てくる人物―名前は忘れたけど―そいつがエネと瓜二つなんだよな」
「それって・・・どういう事だろう?」
「俺もよくわからない・・・」
「・・・なあ、あのヒビヤっていうやつ、どういう人物なのかってわかるか?」
「たしか・・・あいつが出てくる世界は『カゲロウデイズ』と・・・『コノハの世界事情』っていう曲だけだと思うけど・・・」
「というかさ、そのヒビヤって子って『ヒヨリ』とかいう女の子と一緒にいるハズだったんじゃなかったっけ?」
「そういえばそうだな。たしかアイツは【一日が何回も繰り返される世界】にいたハズだけど・・・その世界ではさっきのヒヨリって子が事故にあって死ぬ世界で、その子が死ぬたびにヒビヤは気絶して、起きたらなぜか前日の世界に戻るっていうカンジだったはずだけど・・・ん?」
「どうかしたっすか?」
「いやな・・・『シニガミレコード』に出てくる化け物の話したっけか?」
「あの蛇の?」
「ああ・・・その化け物の曲の歌詞でさ、♪『終わらない世界を作ったんだ』・・・ってのがあってさ、これってなんか似てないか?」
「・・・たしかにな」
「偶然ってワケじゃなさそうだね・・・」
「・・・もしかしたら、あの子って菊と同じで、別の世界から来たっていう人なのかな・・・?」
「マリー、さすがにそれはないと思うぞ。俺と同じでパラレルワールドから来たのなら、あいつは物語に登場していないはずだ」
「そっか・・・」
・・・だけど、もしかしたらあるのかもしれない。【永久に死ぬ事のない世界が】・・・
『ああ。たしかにあるぞ』
「!? 誰だ!」
「え?何!?どうしたの!?」
「今誰かの声が・・・!」
「え・・・?声・・・?」
「そんなの聞こえなかったっすよ」
「そんな・・・!たしかに聞こえた・・・!」
『聞こえてるのはお前だけだ』
「・・・なんでだ」
「どうしたの?」
「黙っててくれ・・・で、なんで俺だけに聞こえてるんだ」
『それは、お前が私と同種だからだ』
「同種・・・?もしかしてお前、能力を持ってるのか?」
『・・・まあ、そういう事だな。少し違うが』
「で?その能力者が俺に何の様だ?」
『始めてあった私以外の化け物に挨拶しようと思ってな』
「・・・いくら変な能力を持っているからって化け物扱いはないだろ」
『お前・・・知らないのか?』
「は?」
『・・・まあいい』
「・・・っていうかさ、お前の能力ってこの今使ってるやつ?」
『まあな。他にもあるが』
「・・・じゃあさ、メカクシ団全員の過去の事分かる能力ってあるか?」
『・・・ああ。私の世界に入った人物の過去なら分かるぞ』
私の世界・・・?
「・・・なら見せてくれないか?」
『ああ。ついでに面白いのも見せてやろう』
と誰かの声が消えた途端、頭に色々な映像が入ってきた―
火に囲まれ、絶命寸前の少女の姿。
ナイフで刺される少年の姿。
犬を助けようと必死に泳ぐ少年の姿。
土砂崩れに巻き込まれる夫婦と見られる二人の男女の姿。
海で溺れる少女の姿。
胸を押さえ、蹲る少年の姿。
何かの薬を飲まされる少女の姿。
マリーと母親が撲殺される様子。
泣きながら、どこかの屋上から身を投げる少女の姿。
ハサミで自分の頭を指すシンタローの姿。
トラックに轢かれるヒビヤとヒヨリの姿。
そして―
【全身に鱗が現れた自分の姿】
「!? 何だ今の!」
『・・・今見た事は全て真実だ。今日はこれで失礼するぞ』
「おい!待て!」
―返事は無い。
「なんなんだよチクショォおおぉおぉおお!」
「ど・・・どうしたの・・・?」
「・・・悪い。今は言えない」
「なんで・・・?」
「いいから黙っててくれ!」
「ご・・・ごめんなさい・・・!」
「菊!怒鳴らないでよ!」
「わ・・・悪い」
「・・・本当に何があったんだ?」
「・・・悪いけど、今はまだ言えない」
「・・・そうか」
まさか・・・俺は・・・いや。考えすぎか。シンタローが来るまで気長に待つか。
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